マルチエージェント・シュミレーション(MAS)が当然の社会になってきた。そもそも、社会、あるいは企業組織という複雑なシステムでは、1.人は認知可能な周囲の状況に合わせて行動するしかない 2.一人一人は限定的な情報の下で各々にとって最適な行動をするしかない 3.一人一人の行動は互いに影響し合っている そしてもちろん、4.人によって価値観や行動規範が異なる わけで、企業の組織はそれらが複雑に絡み合って構成されているというのが実態。
企業という社会において、何が原因でどんな問題が引き起こされたのか、いつ何をすればこの問題が解決できるのか に応えることは非常に複雑であり困難と言える。そこで、コンピュータの中に人口社会を構築して、人口社会全体の振る舞いを観察、評価し、個々のエージェント(映画マトリックスを思い出す)の相互作用による現象を再現し、ある原因に対する影響を検証したりすることが当たり前の時代になってきたわけだ。
いわゆる複雑系のシュミレーションだが、エンジニアリング・コンサルティングとしてマーケティングの世界でも、今や当然のように行われている。たとえば、店舗内のレイアウトの効果検証とか。
昨日は、このMASを使ってピーターの法則を検証した話を聞いて、あ、いよいよだな、って思った。つまり、社会の階層理論にまで及ぶとなると、組織の生産性を高めるための組織のデザインはどうあるべきかという話になるに違いないと思った。約30年前、ハーバードのバーゼル教授が実証したPIMSの原則を思い出したからだ。1番目は投資、ただ、これはある意味当然。でも、2番目は、そうそう、組織の生産性だからだ。(左脳の気づき)
組織の生産性はこんなに重要なのに、日本企業の経営者はどこまで真剣に考えているかというと少々心配だ。以前IBMの戦略プロセスを日本企業の経営幹部の方々と議論したときのことを思い出した。日本企業の経営幹部は自社にとってどんな戦略がベストか、を考えているのに対し、IBMでは、どうしたらすぐれた戦略が創発されるのか、そのための環境・しくみは何かを考えていることを知って、参加した日本企業の役員の人たちは驚いていた。
そして、もはやだれしも異論のないことだと思うが、組織の生産性のカギを握るのは、自己組織化だ。経営者、特にトップはこのことを真剣に考えなければならないはず。戦略コンサルに戦略立案の仕事を任せていて大丈夫なのか?それで生き残れると本当に思っているのか?と思ってしまう。