3日、「新参者・・・赤い指」を観た。昨年、非常に人気があったミステリーだ。娘たちが夢中になっていたので、時々ちらっとみていたが、昨日はじっくり見る時間があった。新参者は何故人気が高いのか、その売れる仕組みをハーマンモデル(欧米の多国籍企業でそこそこ使われている脳科学)のフレームで解析する。
まずは、A象限。左脳大脳皮質、ファクトとロジック、分析の世界だ。主人公の刑事加賀恭二郎は分析的だ。少女を殺した犯人を変質者と決めつけず、ゼロベースで考えていく。そして、たとえば、運動靴の左右の紐の結び方の違い(比較こそ分析の本質)から、死体に関わった人数を二人と推定する。刑事コロンボや古畑任三郎、最近では相棒の主人公に近い進め方といっていいだろう。
次は、B象限。左脳辺縁系(動物の脳)、伝統や秩序、権威や計画を重視する世界だ。新参者という言葉を自他ともに許しているように、加賀は常に謙虚な姿勢をくずさず、組織の秩序、権威を尊重している。たとえば、事件を担当する捜査一課に所属する松宮はまだ駆け出しだが、彼の意見にも耳を傾けつつ、節目節目で主任の承認を得ながら捜査を進めているのだ。このあたりは、組織の秩序や権威からはみ出している、または、それを売りとしている、あるいはアウトロー的な存在である、踊る捜査線や相棒とは異なるといえるだろう。
そして、C象限。右脳辺縁系、一言でいえば、人情の世界だ。被害者だけでなく加害者にまで及ぶ加賀の温かいハートに感動しているファンは少なくないだろう。この点は解説を要しないと思う。藤田まこと扮する、はぐれ刑事純情派を彷彿させるところがある。
最後に、D象限。右脳大脳皮質、全体観、直観、洞察力の世界だ。加賀は、加害者である中学生の家族の関係性を早い時期から見抜き、その優れた洞察力を駆使して、警察で尋問する前に父親にすべてを吐露させてしまう。このシーンは圧巻きだ。これだけの力量がある刑事は、私の知る限り日本にはいなかったと思う。洞察力にすぐれた刑事としては、アガサ・クリスティーのエルキュール・ポアロがいる。彼も精神科医と同じようなやり方で人間にアプローチする。
観る者をこれだけ引き付けるのは、加賀刑事が四つの象限から事件にアプローチしているからだといえよう。もちろん、それだけではない。続きは次回