教師という仕事をしていて楽しいことはたくさんある。

その中でも、嬉しいのは、人間としてつながったなと思う時。

 

初めは、恥ずかしくて話せなかった学生が、クラスを通して私のことを知ってくれて、この先生なら話してもいいかなって思ってくれて、心を開いて、私に勇気を出して話しかけてくれる時。

 

嬉しくてたまらない。

 

今日はそんな瞬間がたくさんあった。

 

私はプレゼンテーション・スキルというクラスを教えている。人前でスピーチを上手にできるようにするクラス。

 

私は個人的な付き合いでも、ぶっちゃけトークが好きなので、クラスでも自分の恥ずかしい部分を正直に話す。

私は人前で話すのは苦手だったけど、そんな自分が嫌で練習して、スピーチできるようになったんだよ、っと何度も話した。

 

バングラのクラスの子たちも、ほとんどの子は人前で話すのが苦手。

ほぼ毎回、全員クラスの前でスピーチしてもらうが、数人は自分の番が来ると、

「先生、無理です」「頭が痛いです」「最後にしてください」「帰ってもいいですか」などと言ってくる。

 

そこをなんとか励まして、絶対に話させるのだが、それを乗り越えた学生は自信がついていく。

 

この数ヵ月で、何人かの学生はすごく上手になった。

 

今日はスピーチの期末試験だった。

 

一人の女の子が、自分の番の前に、私のところにきて、「先生、私緊張してる」と耳打ちをした。

彼女は、前回、自分の番の前に、「先生、スピーチすると思うと頭が痛いから、帰りたい」と言っていた子だ。

 

でも、今日のスピーチはすばらしかった。一番上手だった。

スピーチの時に緊張するけど、それをどうやって克服すればいいのかを、スピーチで話してくれた。

私が教えたことを忠実にスピーチの中で使ってくれて、私は本当に嬉しかった。

終わってから、すごく良かったよと伝えると、すごく喜んでいた。

 

もう一人の女の子は、私がいつも自分の弱みを話すので、授業が終わってから

「先生、あなたは本当に誠実な人だ」とわざわざ言いに来てくれた。

「先生、私は料理は出来ないけど、先生のために牛肉の料理を作りたい」と。

お~なんて、かわいい子だ。

 

クラスが終わってから、ある学生からメッセージをもらった。

この子も、一番最初のスピーチの時に、「私は人前で話す勇気がない。むりだ」と泣きついてきた。

めちゃくちゃ説得してスピーチさせたら、めっちゃ上手だった。

メッセージには「先生のおかげで、人前で話すのが怖くなくなった、ありがとう」とのことだった。

こうして感謝の気持ちを表してくれると、本当に嬉しい。

 

そして、最後。

クラスで一番のシャイな男の子。「こんにちは」もまともに言えないような子。

最初のスピーチはひどかった。そして今でも一番下手だ。

でも、彼は彼なりに努力して、よくなった。

 

他のクラスでは、あまりにも下手過ぎて、そしてシャイすぎて、先生に馬鹿にされて嫌われているらしい。

そんな彼を私は見捨てずに、頑張るように励まし続けたので、彼は私のことを「一番大好きな先生」と呼んでくれた。

今日も彼のスピーチはへたっぴだったが、クラスの後、私のところにやってきた。

彼は英語も下手だし、シャイなので、友達が全部、彼の言いたいことを代弁してくれた。

「先生は、お母さんのように、僕の面倒を見てくれた、ありがとう」とのこと。

嬉しかった。

 

こうやって、学生が変わっていくの見ることができるのは、本当に幸せだ。

特にプレゼンのクラスということで、みんなプライベートな事を話さないとダメなので、深くいろんな話ができた。

 

初めて教えたプレゼンのクラスだけど、やって良かった。

 

学生のみんなありがとう。感謝の気持ちを示してくれて、心開いてくれて。

嬉しい一日でした。

 

前回のプレゼン。ダンスを披露する学生。バーガー作り方を教える学生