管理不全マンションの切り札になるか?


管理者管理!

 

管理者管理とは、管理組合以外の第三者が管理者となる仕組みをいいます。

 

具体的には、区分所有法に定められている管理者(通常は、理事長が管理者)として、区分所有者以外の第三者を選任して管理を委任する方法のことです。

 

管理者管理の是非をめぐっては、管理組合の団体、マンション管理会社の協会、マンション管理士の協会などの関係者の意見がさまざまに錯綜しています。


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管理不全マンションとは、例えば、「理事会は、存在するものの、日常的な連絡調整等の業務が滞り、


また、理事長の確保に苦慮する」や「修繕積立金不足が深刻」や「管理費や修繕積立金の滞納が深刻で回収が急務」というような課題を抱える管理組合です。

 

このような管理組合のために、平成28年3月に「マンションの管理の適正化に関する指針(ガイドライン)」が改正されました。

 

ガイドラインでは、管理不全が懸念されるマンションで外部専門家が管理者(理事長)や理事などに就任するには、以下のような業務を担うことが想定されます。

 

・総会・理事会の議長、組合員からの相談対応、管理業者への指示


・規約違反者等への警告等、規約改正・訴訟追行の場合の弁護士への相談・出廷


・長期修繕計画見直し、修繕積立金の引上げ等に向けた提案・管理業者等との調整


・大規模修繕工事に係る設計会社等との調整・災害等緊急時の保存行為の決定など

 

以上の業務を外部専門家に任せるとして、いくつかのパターンが想定できますが、ガイドラインでは、3つの事例を紹介しています。

 

(1) 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型

・理事会有り

・管理者=理事長

・外部専門家は「役員」(理事(理事長=管理者を含む)又は監事)に就任

 

(2) 外部管理者理事会監督型

・理事会有り

・管理者≠理事長

・外部専門家は役員ではない

・外部専門家は「管理者」に就任

 

(3) 外部管理者総会監督型

・理事会無し(総会のみ)

・理事長がいない

・外部専門家は役員ではない

・外部専門家は「管理者」に就任

 

(1)と(2)は、高齢化などで、理事長のなり手に困るようになった場合で、一般理事・監事のなり手はあるマンションの例として取り上げています。

 

(3)は、理事会が崩壊していて、総会のみで意思決定・執行している場合に、「管理者」が総会を監督し、日常の管理組合業務を執行する例を取り上げています。

 

いずれにしても、外部の専門家の資質や利益相反・コンプライアンスなどの課題が多いと考えられます。

 

不適切な設計コンサルタント問題が発覚した今、管理会社も設計コンサルタントに含まれていることを考えれば、

 

私たちマンション管理士も含め、業界が一丸となって不適切な状態を脱する取組みを行わないと、管理組合から信用してもらえないのでしょうか…。