悲しい女たち サッチャンわね!・・④
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私の前の幸子は

以前の私が知っている幸子とは

全く別人のようだった、

昔も化粧を落とした

素顔を見たことがないので

余計にそう感じたのかもしれないが、

若い頃の深酒が祟ったのか

肝臓が病んでいると言う。


風の噂ではスナックは

繁盛していると聞いていたのだが・・・

二十年近くもやっていたが

店を閉めて一年ほどにもなると言う。


バブルもはじけ、

飲酒運転の取締りが厳しくなり

飲み屋街も閑古鳥が鳴いているそうだ。


この間に

二人の男と付き合いがあったらしいが

どちらも所帯持ち、

結局長続せず今でも幸子は一人住まい。


島根の弟が

「姉ちゃん、帰っといで。」

と云ってくれるらしいが、

すでに母も父も亡くなり

弟夫婦の子供もすでに高校生。
弟の嫁とは一度も話したことも無く

帰ったところで

自分の居場所がないと言う。


「実家は商売も繁盛して

資産家やろうが?」と私が聞くと。


「弟の代に代わってから

商売も下向きになり、

現在は弟も勤めに出ているらしい、

だから私の居場所もない・・・」


現在は知り合いの内職仕事をして

喰いつないでいると言う幸子、

本名は由紀子だと私も知っているが

つい呼びなれた“幸子”と口に出る。


この後、

幸子は十日に一度くらいの頻度で

顔をみせていたが、

その度にうちのカミさんが

もらい物の野菜や果物を持たせていた。


この頃に私の店に

客で出入りしていた上野のオッチャン、

もう70才近くにもなっていたが

連れ合いを亡くして一人住まい。


「マスター、

どっかに茶のみ友達になるような

女の人が居らんやろうか?」

このオッチャン、

酒もよく飲むし元気なひとだ、

結構資産もあるし・・・
そこで幸子を紹介した・・・


オッチャンには、

「一人住まいの別嬪さんが

居るんやけどな、

長い間、飲み屋をやっとったけど

今は何もしていないんや。

ただ身寄りも仕事もないから

生活に困っとるらしい。

お手伝いさん代わりにどうやろう? 

気に入って結婚までいったら

もっとエエンやけど・・・」


幸子には、

「生活に心配がない程度の財産はあるけど

ひとり暮らしのオッチャンが居るんや、

結構きさくなオッチャンやで

一度出会うてみんか?」


お互いに気に入り

二人の付き合いが始まった、

幸子が上野のオッチャンの

身の回りの面倒や家の掃除、

通い妻のような形だ。


どちらもが、

「良い人を紹介してくれた」

と言っていた・・・


が、幸せは長く続かぬものだ・・・


久方ぶりに見た

幸子のどす黒い顔色、

化粧をすれば気づかぬ程度だったが

長年の飲酒で肝臓が壊れていた。


二日も顔を見せないので

心配をした上野のオッチャンが

幸子の家を訪ねたが

すでに亡くなっていた。


生活苦から医者にもかからず

肝臓癌が進行していたのだ。


「もう少し早く知っていたら

医者に連れて行ったのに」

と上野のオッチャンが悔やんだが

あとのまつりだった。


遺骨は島根の弟が

実家の墓に葬ると連れて帰った・・・


♪ サッチャンわね!

由紀子って言うんだ!

ほんとわね・・・


悲しい女たち・・・
どれほど居るのだろう・・・

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