腐考の至り」リセット 番外地
判決の日   

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判決が出たのは

昨年の六月二十七日だった。
全ての記事を読んで頂いた

最初からの読者さん、

同じ記事で申し訳ありません。
自分で何度読み返しても

揺れ動いていた心がよく判ります・・・

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六月二十七日、

勾留百五十六日目。
 今日は判決の日だ。
 夕べは不思議と眠れた、

目が覚めると窓の外はすでに

明るくなっていた、

もう五時すぎだろうか? 
 ここには時計がないので

正確な時間はわからない、

が不思議なもので慣れてくると

大体の時間はわかる、

体内時計はわりと正確だ。

 
 布団の中にあと二時間、

起床のチャイムが鳴る七時二十分までは

このままで居なければならない、
ここでは決められた日課に

従わなければならない、

なにもしてはいけない、

本も読めない。
 いつもはこのなにもできない

この時間が苦痛なのだが今日はそうでもない。
 今朝は十時に出廷だ。
 いつも、頭の中がグチャグチャだったが

今は妙にスッキリとしている。
 起床のチャイムが鳴った、

洗顔と歯磨きをして床をあげ、

いつもより念入りに掃除をする、

便器もきちんと磨いた。
 七時三十分廊下に号令の声が聞こえる、

朝点検だ、

担当が三人で各室を廻る、

点呼だ、

正座をして彼らが部屋の前に来るのを待つ、

そして大きな声で称呼番号を言う。
 七時四十分、

労役の人達が朝食を配膳する、

今朝の朝食は納豆と海苔、

そして丼一杯のワカメの味噌汁、

いつもは半分ほど残すのだが

今日は綺麗に平らげた。
 八時過ぎに願箋と物品購入のマークシートを

労役の人が集めに来る、
 「今日が判決で

キャンセルになるかもしれませんが。」

と言いながら提出をする、 

「新聞の購読はどうしますか?」

と聞くので、

これも申込みをする。
「帰れるといいですね。」

と労役の人が小声で言いながら

窓口を離れた。


 八時三十分、

担当が入浴だと言ってきた、

ここに来てから

一人で風呂に入るのは初めてだ、

出廷の為か?
 前回の公判の折には

入浴はなかったと思う。
 風呂に入って気分が

スッキリするかとおもいきや、

朝から穏やかな気分だったのが

急に気が昂ぶってきた。
 座って眼を瞑っているのだが

息遣いが荒く息苦しくなってきた、

十時の出廷まであと一時間程か。


 みんなが運動にでるので

私の部屋の前の廊下を通っていく、

私も外に出たい。
 昨夜、

遺書のようなものを書いた。
 しかし実刑判決が出たときに死ねるのか? 
 いや、

とりあえずは控訴をしよう。
 しかし、

二ヶ月も三ヶ月も

こんな状態で待つ事ができるのか。 
 先日、保釈で出ていた若者も

執行猶予が付くと

弁護士に云われ

その気になっていたのに

実刑判決が出てここに舞い戻り、

一旦は控訴をしたが

待ちきれずに弁護士を解任して

控訴を取り下げ、

服役して行った。
 おそらく、

私も実刑判決がでてしまえば

高裁に控訴をしてもだめだろう、
ましてや大刑、

大阪の拘置所はここに比べ

収容人員が桁違いに多く、

規則、刑務官の対応もここより厳しいという、

私のような弱い人間には

とても耐えられないだろう。


 出廷前に所持品をかたずけておく

つもりだったが

そんな事をする心の余裕はない、

つくづく自分でも弱い男だと思う。
 判決前の、

いまわの際になって

また錯乱状態になってきた。
 おおきく息を吸う、

何度も、何度も。


 刑務官が出廷を告げに来た。
 拘置所の裏門から裁判所までの通路、

ここを通るのはこれでもう最後だ、
三度目だが実刑判決で

控訴をしても次ぎは大阪なのだ、
暖かくなっているからか

両手に掛かっている

手錠の冷たさは感じられない。

 

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