先週の日曜日(6月9日)に岐阜県の飛騨高山ウルトラマラソン100キロに挑戦しましたが、あえなく途中リタイアとなってしまいました。

 

去年、ウルトラマラソン初挑戦で13時間23分で見事完走。その勢いで、去年の日光よりも1.5倍くらい過酷でキツいコースの飛騨高山に挑戦しました。エントリーした時は正直ワクワクしていて(←完全ドMですよね)、今年の出場レースの中で最も楽しみなイベントでした。

 

・・・しかしながら、数々の想定外が重なりました。まず、足のケガ。短腓骨筋腱付着部炎という、これまでのアスリート人生で初めての症状に見舞われ、レース直前3週間前から思うように走ることができませんでした。また、平日も朝早くに出社して、帰宅後も走る余力はなく、5月の練習量(距離)はここ近年では最も少ない量になってしまいました。

 

そして、とどめはレース1週間前の寒暖差の激しい天気に風邪を引いてしまい、結果的に風邪が完治することなくレース当日を迎えてしまいました。

 

今回、スタート地点に立った時、既に3つの不安を持っていました。1つめは上記の練習不足による自信の欠如、2つ目は朝起きてすぐ寒気がしたくらいの体調の悪さ、そして3点目はレースシューズのかかとの減り具合。補修はしてきましたが、100キロもの距離を走るとなると、補修も途中で効果がなくなるのは明らか。こんな不安を抱えてのレースですから、当然、強気にはいけません。この時点ですでに敗北でした。

 

午前5時のスタート後、やっぱり体調不良は顕著に。風邪で特にレース直前はずっと咳込んでましたが、走り出すと、喉が焼けるように痛い。唾を飲み込むと顔を歪めるような痛さ。でも、「これも我慢我慢」と言い聞かせました。

 

↑飛騨高山名物の「古い街並み」。スタート時点は元気でした。

 

スタート後5キロ過ぎから早くも斜度のきつい登り。どんどん体力と脚が奪われ、スキー場までの延々と続く登りはほぼ走れず、ずっと歩いてしまいました。何とか気合いでコース最高地点の1,345メートルの地点まで登り切りましたが、今度はさすがに高度な地点なので超絶寒く、体調不良がさらに拍車をかけて悪化していきました。

 

↑斜度が想像以上にキツく、ほとんど走れませんでした。(他のランナーも同様)

 

そして、そこから怒涛のほぼ10キロ弱にわたる下り坂。平均斜度は-6度。下りに苦手意識が元々あるので、本当に辛かった。足が壊れるのではないか、と思うくらいで、我慢に我慢を重ねました。

 

そして、何とか精神力だけで50キロを通過。でも、もう限界でした。

実はタイムは想定の範囲内で、このままのペースで残り50キロを走り切れば、制限時間内に完走できる計算でした。でも、

 

『これ、このまま走ったら廃人になり、仕事に復帰できないかも』

 

ということが肌感覚として分かりました。今の職場は退職が決まっており、「いいんじゃね?」という悪魔が一瞬囁きましたが、やっぱり最後まで責任をもって役割は全うしたい、プロとして最後まで誠実に振舞いたい、そう思う気持ちが勝ち、仕事のために53キロのエイドステーションで関係者の方に

 

『すいません、ここでDNF(Do not Finsh)にします』

 

と伝えて、私の飛騨高山ウルトラマラソンが終わりました。回収車に乗ってスタート地点まで運ばれている社内、本当に悔しくて悔しくて、泣きそうでした。仕事も趣味も、なんでこんな目にばっかりあわないといけないのか、と。

 

↑初の回収車搭乗。もう乗りたくないです。

 

確かに、今年は干支の厄年(前厄、本厄、後厄とは別)で、

 

『基本、辛いことの方が圧倒的に多いから覚悟してね』

 

とはうちの奥さんには言われていたけど、それにしても辛すぎる・・・。ここまでのものなのか、と天をも恨みたくなりましたが、友人のように腰を痛めたわけでもないし、レースに挑戦だってできたじゃないか、無事東京に戻れるじゃないか、そんなことを考えると、自然と感謝の気持ちが湧いてきました。ありがたいなぁと。

 

最後、計測タグを係員に渡して、参加賞のタオルを頂きました。完走メダルではなかったですが、今の自分の精一杯を出し切った、そんな満足感がありました。

 

今年のウルトラマラソンが終わりました。不甲斐ない、満足いかない結果となりましたが、これまでDNFはなく、すべて順調に完走してきた人間なので、こういう挫折もあっていいかな、とさえ思うようになりました。

 

また、自分の意志で決めたDNF、レース後やっぱり高熱を発症し、ホテルのベッドに寝込む始末。あの時途中で棄権してやっぱり正解だったんだ、と思いますし、現に今でもまだ咳が治っていません。勇気ある撤退だったのかもしれません。

 

 

明けない夜はない、自分をしっかり持って、1歩ずつでも前に進み続けていきたいと思います。