『炭水化物抜きダイエットってどうなんですか?』というご質問が非常に多いので、この場で改めてまとめさせて頂きます。
はじめに、私は専門の医師でもなく、栄養士さんでもなく、研究者でもありませんので、専門的な表現は避け(トレーナーは本来避けるべきであると思います)、あくまで自身の経験と常識の範疇でしかお伝え出来ないことをお断り致します。
まず、炭水化物を抜いて良いかどうかについてですが、私の答えは一貫してNOです。
脳細胞が働くなるから、ケトーシスになるから、ガンや心臓病のリスクが高まるから、筋肉が減るから、リバウンドするから、低血糖で倒れるから。
多くのウェブサイトや情報誌、トレーナーの方はこのようにお伝えすることがほとんどだと思います。
実際に心臓病になったわけでもありませんし、そんなリスクよりも、とにかく瘦せたいダイエッターの方にとっては『みんなやってるし、私も大丈夫。』程度のものでしょう。
あくまで一般の方々に責任はありません。
私の意見としては、そもそも抜いてもよい食材(栄養素)などなに一つないと思っています。
それが日常的な食事にしろ、ダイエット期間中にしろです。
私たちの食卓には、いつも温かいご飯とお味噌汁、お肉やお魚、そしてお野菜がのっていたはずです。
そしてそのような食事が一般的であった時代(昭和)は、今の時代ほど肥満人口が多くなかったはずです。
最近では『白米が身体に悪い』と言われ、私たち日本人にとって尊いお米がまるで毒物のように扱われているのが残念でなりません。
私は生まれてこの方、白米を食べて体調を崩したことなど一切ありませんし、太ったことなど一度もありません。
むしろ『白米は身体に悪い』『肉類は食べない』『乳製品は太る』『夜は炭水化物は摂らない』と言ったように、食に対して狂信的なこだわりや強い固定観念を持った方ほど不健康な方が多いのは気のせいでしょうか。(過去に実際に拒食症を経験された方を何人も見てきました。)
太っている方ほど、朝は食べなかったり、過度な食事制限を自分に課しているケースがほとんどです。
逆に、日常的にある程度動き、ある程度好きなモノを食べ、食を楽しみ、満足している方の方が健康的でハツラツとしていて、スリムで若く見えるのは気のせいでしょうか。
炭水化物を抜いている方で、そのように元気な方を見たことはありません。
栄養素が欠けることは、つまり『栄養失調』を意味していますから。
最近の日本では、トレーナーだけでなくメディア(それもゴールデンタイムに)で堂々と炭水化物抜きダイエットが取り上げられているのに本当に驚きますし、ショックですし、ある種の憤りを感じます。
炭水化物抜きダイエットは、アメリカで数十年前に大流行し、健康被害や死亡事故が多数報告されています。(諸説ありますが、提唱者も死亡時に心臓病であったと判明されています)
それが、現在の日本では『救世主!ノーベル賞も驚きの最新のダイエット!』のように伝えられてるのが非常に残念です。
ダイエットとはなんでしょう?
痩せるため?
綺麗になるため?
もちろんです。
しかし、健康になるのがダイエットではないんですか?
本来健康になるはずのダイエットで、なぜあえて尊い人命を危険にさらさなければならないのでしょうか。
それもここまで様々な研究ではっきり分かっており、過去に世界中で健康被害や死亡報告のあるダイエット法を実践してまでも、痩せる価値がそこにはあるのでしょうか。
それも医師免許や医療資格を保持しているわけでもない、民間資格保持のトレーナーが指導したり(それすら保持しておらずメディアに登場するトレーナーも山ほどいます)、非常に影響力のあるメディアで取り上げるのには強い疑問を持っています。
視聴者は多かれ少なかれ必ず実践する方はいますから。
推奨する指導者が大勢いるくらいですから、一般の方々が信じてしまうのも無理はありません。
それも国民が最も関心のあるダイエットとなると、それは尚更でしょう。
ラクをして太ったのに、また炭水化物を抜いてラクして瘦せようという考えはいかがなものでしょうか。
それは努力ではなく、ただの辛抱です。
そして辛抱はやがて欲望へと変わります。
覚えておきましょう。
炭水化物抜きダイエットで失うものは6つ。
(1)水分
(2)筋肉
(3)栄養
(4)食に対する関心
(5)健康
そして
(6)交友関係
代表/パーソナルトレーナー 浅野