「強い会社をつくる失敗学」
1.「売上と客数を減らそうと思えばこれをやればいいという見本みたいな
こと」(吉野家)
・急激な多店舗変化で必要量が増した原料の牛肉価格が高騰した
ため原料をフリーズドライ肉に変更。
・タレをパウダー化し、白菜のお新香を冷凍して輸送
・米もコストの安いものに切替
2.「(倒産で)実に重要な学習をしました。あの失敗のデータベースは、
いまも大切にしている。僕らはその要素を集約して、そういう失敗の
要素がそろったときはやらない。というのは決めた。もちろん、
どれだけ考えてやっても、絶対に成功する保証なんてない。
でも、失敗の条件はについてだけは、100%学習した」
(「吉野家の経済学」)
3.失敗を積極的に研究すれば次の失敗を避けることができ、「強い会社」
へと生まれ変わる可能性も大きくなるからである。
4.失敗地図
「どう失敗したか」「どうして失敗したか」「どうすれば避けられるか」が
整理して書かれていることが必要。
5.失敗学
創業間近で経営基盤が脆弱なことが多いベンチャー企業にこそ必要。
6.失敗の人的原因の分類
1欲得
経済的な利益や社会的な地位などに目がくらんだ失敗。
2気分
気分が沈んでいたり、高揚しているときに人は失敗を犯しやすい。
3うっかり
見過ごしたり、忘れていたり、つい判断を誤ったという種類の失敗。
4考え不足
思慮が浅かったり、まったくないという失敗。
5決まり違反
ルールを無視したり、手抜きしたり、ルールに対して無知だったり
するための失敗。
6惰性
マニュアルに寄りかかって考えたらずであったり、慣れきってしまう
ことによる思い込みや、もって生まれた性癖で失敗をするケース
7恰好
体面にとらわれたり、必要以上に恰好をつけようとしたための失敗。
8横着
他人に責任転嫁したり、手抜いたりするといった、本来やるべきこと
をやらなかったことから生じる失敗。
9思い入れ
強い名鑑や生きがいをもっていたことが、逆に思い入れが強すぎて
失敗に至ることもある。
10自失
まったく未知の事態に遭遇したり、判断できないような状況で自失
状態になったための失敗。
7.挑戦する人を誇り、失敗を正しく評価し、新たに再生するしくみを
つくらなければならない。
8.豊かな発想と優れた先見性に支えられ発展したが、彼らは経営体質
の 強化はど得意でなく、経営管理面の未熟さや投資判断のミスに
よってつまずき、倒産した。
9.流行と密接に関わる業界において、時代感覚が鋭いことは不可欠。
10.「ベンチャー企業は最初の4,5年間がいちばん大変。創業間もない
企業を、資金、人材、経営ノウハウ提供の面から支援する組織が
必要だ」
11.常に予想外の事態が起こりうる可能性に対して、マージンをもっておく
という発想が経営者には求められる。
12.銀行は契約に沿って金を貸すのであって、契約期間後は銀行が
好きなときに貸した金を引き上げることができる。
13.一度も他人に雇われたことがないせいか、銀行のような大組織の
行動形態を最後まで理解できなかったように思われ、銀行の回収
姿勢の厳しさに対してもまったく無防備であった。
14.倒産の原因分析
経営者として地に足がついた判断ができず、自分で経営判断すこと
が少なくなった。
15.他人資本を集めて事業を行い、出資を集めるにあたっては
「嘘をつかない」「インチキなビジネスはしないこと」
16.念願のビジネスソフト発売というチャンスを前に、正常な判断力を
失っていたのかもしれない。
17.急成長をすれば、人や組織、資金などのどこかに必ずほころびが
生じる。
18.ギャンブルできることはベンチャー経営者には必須の資質。
19.自らの体面を繕うためという邪心があったニセモノの経営が長続き
するほど世の中は甘くない。
20.社会的使命を担い、技術の種もよく、誠実に事業をやったケース
でも、乗り越えられない社会の大波がある。
21.社会的意義のある事業は、一企業としてビジネスを営む形だけでは
なく、今後はNPOなどさまざまな形で事業化されているだろう。
22.創業には向いても、その事業を地道に育てていくことには向いて
いない経営者もいる。そういう場合、アメリカのように、会社を売って
新たな道を探った方がいい。
23.失敗を防ぐためには、失敗がそういう性質を持っていることをよく
知って、あえて「見たくないものを探す」という心構えでものごとを
考えることが必要なのである。
24.同じ過ちを繰り返す原因を指摘するなら、他者の多くの失敗について
認識しているにも関わらず「自分はそんな過ちはしない」と過信して、
失敗にまなぼうとしないことである。
25.企業は、その成長に伴って変貌する必要があるということを忘れては
ならない。
26.企業規模が小さいときと、一定レベル以上に大きくなったときでは
マネジメントのスタイルやシステムを変えなければならない。
一般には年商レベルで80億円、200億円、800億円、4000億円あたり
に節目がある。
27.マネジメントのスタイルやシステムを変更するときは、トータルな視点
から再設計することが不可欠である。
温泉宿の場合、ある大きさになったら、旅館をまったく新しく建て直す
ことである。
28.日本では、失敗した個人の責任ばかりが追及され、失敗という貴重な
財産が放置されるのは、あまりにももったいない。
29.企業倒産の体験・ノウハウ・人材は、社会が倒産者に対して預託した
資産である。
30.社会全体が敗者の復活を受け入れることができる状態になったとき
に、日本は間違いがなく現在の閉塞状況から脱却し、再び活力を
取り戻すにちがいない。
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-目次-
序章 優良成長企業がなぜつまずくのか
第1章 個人の欲得がモノづくりの原点を忘れさせた
● 新日本技研
失敗の理由
①料金前受け商法とソーラー事業の失敗
第2章 感覚の冴えに頼り見切りを誤る
●オカノアソシエイツ
失敗の理由
①TNCとロクシタンで約10億円の累積損失
②オレンジハウスの急激な店舗展開と自社ビル購入
③自らの時代感覚の鋭さに酔ってしまった・・・
④古巣のヴァンの過ちを再び・・・
第3章 細心の注意を払っていても避けられなかった誤判断
●北部通信工業
失敗の理由
①独自技術をもちたいがためにM&Aを焦った
②IT不況という不可抗力も
第4章 際立つ独創性を大事業に育てられなかった浅慮
● ハイパーネット
失敗の理由
①市場を読み誤った
②米国ビジネスで誤算が続出した
③外注システムの事故が相次いで起こった
④デメリットを無視した銀行からの借り入れと、その後の貸しはがし
第5章 常識を無視した拡大戦略が裏目に
●コンパイル
失敗の理由
①突拍子もないほどの拡大戦略
②財務管理の甘さ
第6章 豪放磊落、面倒見のよい性格がアダに
● ピコイ
失敗の理由
①社員教育に力を入れる反面、経営管理が疎かになった
②親分肌で豪放磊落な性癖が裏目に
第7章 体面に固執し無理を繰り返す
● サワコー・コーポレーション
失敗の理由
①上場に固執した
②景況悪化のなかでの事業拡大に、見通しの甘さがあった
③決算書を軽視し、会計監査を甘く見た
第8章 手抜き経営で有名居酒屋を食いつぶす
● 北の家族
失敗の理由
①ケイビーの生贄に
②ケイビーという会社の闇
③株好きが高じて経営は上の空・・・
第9章 「世のため」という思いが経営判断を誤らせる
● カンキョー
失敗の理由
①使命感に駆り立てられた経営見通しの甘さ
②アウトソーシングが両刃の刃となった
③業績の数字を疑問視する声も・・・
第10章 社外活動に熱中し無判断のうちに破たん
● イタリヤード
失敗の理由
①本業以外のことに熱中しすぎた
②権限委譲に失敗した
③経営者として計画性に欠けていた
終章 「失敗」を活かし「強い会社」をつくる