「日本企業にいま大切なこと」
1.日本では、傍観者的に発言することが知的と感じる風潮が残っているが、
実際にはこれほど反知的な行為はない。
2.19世紀後半の明治人は、どの時代の日本人よりも現実的で、
武士的リアリズムがあった。
3.民法はフランス、軍事はフランスとドイツ、科学技術はアメリカと
いいとこ取りしたのも「日本のため」という大きな理想がありながら、
理想だけに溺れることなく、その実現に向けて学ぶべきところを採り入れた。
4.日露戦争を境に、日本は19世紀後半に身につけたはずのリアリズムを失い、
空虚なイデオロギーに支配されていく。
5.チャーチルのリーダーシップ
1.「善悪の判断」を明確にジャッジメントする能力
2.他社と文脈(コンテクスト)を共有して共通感覚を熟成する能力
3.ありのままの現実を凝視する能力
4.本質や直観を生きた言語で再構成する能力
5.「人を鼓舞する言葉」だけでなく、「叙述し、明確化し、説明する言葉」の
重要性を理解していた。
6.あらゆる手段を巧みに使い、概念を共通善に向けて実現する能力
6.意思決定はたんあんる情報処理の結果であってコンピュータでも可能だが、
リーダーの判断には事象の背後にある関係性や文脈を広く、
深く読み込むことが求められるために、優れた判断力を見せ、
実践的にもガッツを示す人間は「敵ながら天晴れ」となる。
7.全て同じようにやっても二度と同じことが起きないのが経営
8.人間の二面性
・資本主義に基づく投資家・消費者としての側面
・民主主義における市民としての側面
9.日本のエクセレント・カンパニー
共通善に取り組む姿勢を持ち続け、資本主義的な自己利益の追及だけに走らず、
ライシュが指摘した二面性のバランスを取りながら発展してきたのが日本企業の
真髄。
10.リーマンショック後の環境変化は、日本企業にとっての好機ととらえることが可能
11.「失われた20年」とは日本企業が自我を失っていた20年
12.ビジョンとは「旗」を揚げること
13.日本企業の2つの問題
1.グローバル化が進んでいくなかで、
「モノづくり」だけでは生き残れなくなってきたこと。
2.技術や市場の変化がこれまで以上にスピードを増し、調達、生産、競争が
ますますグローバル化したこと。
14.日本企業が他のグローバル企業に遅れを取っている点
「モノ」を組み込んだ「コトづくり」「関係の構築を築く」といった点
15.いま元気のある企業
持続的なイノベーションを執拗に追いかけて、
知の創造を日々の実践のなかで徹底的に練磨している
16.「ミラーニューロン」
「鏡のように相手の行動を自分に映す神経細胞」のこと。
言語を媒介にしなくても、相手と同じ身体行動をとることによって、
相手の意図や気持ちを読み取ることができる。
17.日本企業は過去20年ほど、アメリカ的なマネジメント手法に傾斜して
日本の暗黙知や現場力が軽視され、日本的な良さが見失われた部分がある。
18.日本企業の競争力を劣化させる方向に働いた理由
・経営と執行の分離
・短期的成果主義
・メール重視のコミュニケーション
・セクハラ・パワハラ
を導入したこと。
19.日本の底力
被災地や原発の事故現場で働く人々の使命感や責任感の強さ
20.企業は社会の公器であり、地域や国や世界全体に貢献する存在だということを
昔から日本人は知っていた。
21.「三現主義」
「現場・現物・現実」というリアリズム。
日本企業が大事にしてきた価値観、行動様式。
22.イノベーション
平々凡とした現実からヒントをつかみ、非凡な飛躍につなげた事例が少なくない。
23.自らが得た気づきの本質を分かりやすい言葉で概念化し、
他社に伝えていく能力も重要。
24.「平凡から非凡」を生むためのイノベーション
一見すると「ムダ」と思えるものであっても新しい発想を導く役割を果たしている。
"遊び"の部分をつくって、試行錯誤の余地を残しておかなければならない。
25.いまや企業がCSRを求める時代は終わり、これからはCSVの時代
CSR:Corporate Social Responsibility、CSV:Creating Shared Value
儲かったら寄付をするという活動は偽善的で、
本業のなかでその価値を追求すべき。
26.日本人にとってはごく「当たり前」のことが、世界的に見れば競争力につながる。
日本の「当たり前」は決して海外では「当たり前」ではない。
27.いまの若い世代は具ルーなるな感覚を持ち合わせており、
社会貢献に対する意識も高い。
28.いまの若い世代は、日本という国に対する帰属意識を持っている。
29.いまの二十代は「緩慢な衰退」が始まった当初のことを知らないので
「日本的なもの」が否定されたという感覚がない。
30.「モノ」は目に見えるが、「コト」は「モノ」を媒介しなければ認識できない
31.日本企業は「コンセプトづくり」の点で、やや弱い面がある。
技術のコンセプトはあるが、大きな社会的コンセプトでくくりなおすことが不得手。
32.優れた日本企業の「型」
トヨタ自動車「なぜを5回くりかえす」、キャノン「全体最適」、ホンダ「三現主義」。
常に現実からのフィードバックを受けることによって創造的に自己革新をしながら
理想に近づいていく方法。
33.課長たちをその気にさせている経営トップの言動
・「おまえが必要なんだ」
・「俺が責任をとるからやってみろ」
34.「失われた20年」は、日本企業でミドルが元気を失った歴史
35.経営トップの仕事
ミドルのために舞台を用意する。
36.不確実な時代に求められる賢慮のリーダーが持つべき能力
1.「よい目的」をつくる能力
2.「場」をつくる能力
3.現場で本質を直観する能力
4.直観した本質を概念化し、表現するん能力
5.概念を実現する能力
6.賢慮(フロネシス)を伝承、育成し、組織に埋め込む能力
37.実践的に優れたリーダーにしかできないこと
現場で生じる具体的な事象の背後にある本質をつかみ取り、
普遍的なコンセプトに結びつけてジャッジすること
「日本企業にいま大切なこと」
野中郁次郎、遠藤功(PHP研究所)
720円 + 税
-目次-
序章 日本の経営者は「実践のリーダー」である
第Ⅰ部 成功している世界企業は「アメリカ型」ではない
第1章 リーマン・ショックと大震災で何が変わったか
第2章 横文字志向の"毒"
第3章 傷ついた日本の「暗黙知」と「現場力」
第Ⅱ部 海外に売り込める日本の「強み」
第4章 ムダが多いはずの「総合力」が生きる時代
第5章 世界に注目される共同体経営
第6章 優秀な個を結集する「チーム力」
第Ⅲ部 スティーブ・ジョブズに学ぶ「日本型」リーダーシップ
第7章 意思決定のスピードをいかに上げるか
第8章 優秀なミドルをどう育てるか
第9章 賢慮型リーダーの条件
終章 リーダーはつねに現場とともにあれ