今日はなかなかハードだった。
母は一気に死に近づいていて、
病室に入ったとたん、
「転院しよか。」と口に出た。
連休の母はまだ母だったが、
今日の母、死にゆく人だった。
「胸が苦しい。ここがどうしようもない。」
と胸の辺りを押さえて、1分毎にナースコールを押そうとする。
それをなだめて、看護師さんに事情を聞き、
もうここの病院では対応し切れていない。
甘い、チョコレートを煮詰めているような匂いが母からする。
これは、ダメだと私の警報が鳴る。
一週間ほど前に妹から父に転院を勧めたらしいが、
今回私が帰省するので、私の判断も知りたかったらしいが、
結局、ややこしく、面倒なことを先送りにしたかったのだろう。
父は、男は、そうやって、逃げるくせがある。
母は一人で苦しんでいた。
ここ1週間、ずっと毎日しつこいほど父に電話をしていた母からの連絡が無かったらしい。
いや、そこで行けよと思うが、
そうしなかったんだろう。
そして今日面会に行き、父は焦っている。
先生に電話で転院する意向を伝え、
転院先を決め、週明けに問合せる。
母はずっと放置されていた。
に等しい。
母は無表情だった。
ずっと。
でも叫んで泣いていた。
叫んでもいないし、涙も出ていないけど。
妹たちに、いつでも駆けつける準備はしていた方がいいと伝えた。