ぼくは地下鉄でRホテルに向かっていた。
ホテルのロビーでは澄恵が待っていることになっている。

が、ぼくはまだ澄恵にあったことがない。
一度、スキーをしている時のけっこう着込んだ写真を見せてもらっただけである。

澄恵とはオンラインのチャットルームでぼくが話しかけたことがきっかけで、メールを送りあったり、時間を合わせてチャットをする仲になった。

最初はたわいもない会話から始まった。
ぼくは料理が好きだったので、食べ物の話題でけっこう盛り上がった。

あっという間に1時間ほど話し込んでしまったが、まだまだ話したりない気がした。
しかし翌日の仕事があるのでそろそろ寝なくてはいけなかったし、あまり遅くまで起きていると妻が怪訝に思うという心配もあった。

とっさに得意なカレー料理のレシピを教えたいからという口実を思いつき、思い切ってメールのアドレスを聴いてみたら、意外とあっさり澄恵はメールアドレスを教えてくれた。

次の日は一日、仕事もあまり手に着かず、ぼーっとしていることが多かったと思う。
仕事では自分専用のノート型パソコンを使っているので、私用のメモなども書くことができるので、
市販のルーを使わない手作りのカレーのレシピを書いては消したりしていた。

夕方、帰宅前にプライベートモードにしたブラウザからヤフーにログインし、思い切って書き上げたカレーのレシピを澄恵からもらったメールアドレス宛に送った。

はたして返事がくるだろうか? 不安と期待が混ざった、どこかウキウキするような気持で帰路についた。