お父さんがリストラされた、全ての家庭に該当するわけではないが
そういうことも多いということ。
ウチだってそうだ。
稼げなくなった男は捨てられるのさ。
用無しとしてね。
だって女の人だって生きていかなきゃいけないし
子供も守っていかなくてはならない。
沈みかかった船にしがみついているよりも
通りかかった丈夫な船に乗り換えることなんて
至極当たり前のことなんだよ。
その沈みかかった船を、一緒に直しながら進んでいくのには
お父さんの人間性が求められるし。
まあ、そのへんはお互いなんだけどさ。
旦那には甲斐性の他に、この人と一緒にやっていきたいと思わせる魅力。
俺にはそこが足りなかったんだろうな。
でもお父さんって、悲しい生き物だな。
今まで家族の為に一生懸命働いてきたのに
用がなくなったらポイかよ。
それじゃ理性のない動物や昆虫と同じじゃんか。
ウチの場合、助け合うわけでもなく
違う船に乗り換えるわけでもなく
海に飛び込んで死んじゃったんだけどさ。
実際のところどうだったんだろう?
この船にずっと乗っていたら沈んでしまう。
自分がいなければ軽くなり
少しでも沈まないで子供たちは助かる
とでも思っていたのかな?
それとも、この船はもう沈むと、ただただ悲観して飛び込んでしまったのか?
他にもいろいろあるが
彼女はどういう気持ちだったのかな。
5年経って、この辺をやっと冷静に考えられる様になった。
今まで悲しみや怒りの気持ち、また惨めな思いが心の中を渦巻いていたが
それぞれが黒い癌の様な塊になり
心に癒着した。
渦巻かない分、普段症状が出なくていい。
ただ無くなることはないから
この先どうなるかはわからない。
放射線治療とかできればいいんだけど
それが何なのかがわからない。