前回は私の趣味である映画や小説の話を書きましたね。

今日は、シンギュラリティについてです。
ここ1世紀で技術の進歩は目覚しく、コンピューターというものが出来てから現在では当たり前の様につかっている今のスマートフォンや最近主流になりつつあるloT技術やAI(AmazonエコーやGoogleホーム、AppleのSiri、他にも様々ありますが略)が益々発展していくのは誰もが実感しているのではと思います。

つい数日前に紹介したパッチ式インスリンポンプや今使っているフリースタイルリブレなんかも10年前ではこんな製品ができるなんて考えもつかなかったのではないでしょうか。

数年前よりシンギュラリティという言葉がメディアで取り上げられ、それについての考察や書籍などが発売されているので、すでに知っている方もいると思います。なのでおさらいのつもりで読んでもらえればと思います。

シンギュラリティ:技術特異点
といいます。

人工知能が発達し、人類の叡智を超えることによって人間の生活に大きな変化が起こるという概念を指します。
シンギュラリティという概念は人工知能の権威であるレイ・カーツワイル博士により提唱された「未来予想の概念」でもあります。

現在の最先端のコンピュータはすでに神経の働きをシミュレーションしたニューロンコンピュータにより、脳内の神経細胞の働きの一部が再現可能となっています。

20年以内にはコンピュータ内のニューロンの数は人間の脳の数を超え、コンピュータが意識を持つことが可能になると言われています。「機械が人間の脳を超える」という段階は、少なくとも人類の想像をはるかに超える速度で近づいています。

レイ・カーツワイル博士は少なくとも2045年までには人間と人工知能の能力が逆転するシンギュラリティに到達すると提唱しています。

2045年問題とは、指数関数的に人工知能が進化し、少なくとも2045年には人類が予測できない域に到達するという説を指します。つまり、永続的に人工知能が進化することは人工知能が人工知能を生み出すことを可能とし、事実上、人工知能の開発が人類最後の発明となることを指しています。

人工知能が人類の能力を超えるには、文脈や状態が異なる同一のものや事象を認識するパターン認識能力や生物と機械のアルゴリズムの違いなどの課題があります。

しかし、近年の研究では機械は生物のアルゴリズムを模倣することが可能であるとわかっているため、生物と機械との唯一の差はニューロン間のあらゆる相互接続であるニューロンネットワークの数のみだと言われています。


これらのことからシンギュラリティで加速する分野があります。

ビックデータ・ディープラーニング(深層学習)分野
ロボット産業分野
ナノテクノロジー分野
loT分野

「シンギュラリティによって、人間の生活は大きく変わる」と予測されています。現在でも、自動車の自動運転や介護ロボットなどの身近な分野で、人工知能の恩恵と呼べる研究開発が進んでいるのも周知の通りです。

今後は医療分野ナノテクノロジーを利用することで、生物学上の限界を克服することができるとも言われています。

本当にあと20年でこんなことが可能なのかと思われる方も多いと思います。


補足として指数関数について説明します。

まず指数関数とは何か?
英語では指数関数のことを「exponention function エクスポネンシャル 」といいます。


また、シンギュラリティという言葉はもともと「特異点」を意味します。数学や物理学の世界でよく使われる言葉です。

宇宙物理学の分野でブラックホールは、ブラックホールの中に理論的な計算では重力の大きさが無限大になる「特異点」があると考えられ、それが重大な問題となります。

ブラックホールの「特異点」は、計算上、重量が無限大になるポイントがあり、それと同様にシンギュラリティ(技術特異点)にも、あるものが無限大になると予測されています。
それが技術が進歩するスピードです。しかも、カーツワイル博士は、そのスピードが倍々の速度で加速すると考えました。それを証明するのが指数関数です。

このような倍々の増え方をグラフに表すと、上の図のようになります。横軸が時間で縦軸が進化・増加の度合いです。
一定のペースで増えていく右肩上がりの線と比べて、カーブが一気に急上昇し、短期間で爆発的に増えるのがわかります。
数学では、このようなグラフを描く関数を「指数関数」といいます。

カーツワイル博士は、人類のテクノロジー全体がエクスポネンシャルに進化すると考えました。AIを始めとするコンピュータ技術だけでなく、生命科学やナノテクノロジー、ロボット工学など、あらゆる分野の科学技術がエクスポネンシャルに進化した結果、それらの科学技術が自ら、自身より優れた科学技術をつくりだすポイントが訪れます。

そのときいったい何が起こるのか?

あらためて指数関数のグラフを見てみると、倍々ゲームで上昇が加速していくと、やがてその方向が横軸に対してほぼ垂直になることがわかると思います。
それは、進化のスピードが「無限大」になるということです。そして、そのポイントは、それまでの進歩の継続を断ち切るように、突然に起こります。そのポイントこそがカーツワイル博士のいう技術特異点、つまりシンギュラリティに他なりません。

これは、これまで人類が経験してきた時系列とは非連続の進化です。カーツワイル博士自身も、シンギュラリティのインパクトがどんなものになるかは「予測できない」と告白しています。
ただし、カーツワイル博士は、それが人間の能力が根底から覆り変容するレベルの現象になると述べています。
いわば、「人類が生物を超越するレベル」です。地球上の生物は40億年かけて進化してきましたが、シンギュラリティによって、その進化がこれまでの時系列から解き放たれ、無限に増殖をはじめる。人間の作りだした科学技術が、人間の手を離れて自らより優れた科学技術を作り出すようになる。

カーツワイル博士の予測を懐柔的にみる人々もいます。特にAIに精通した人ほど、その難しさを日常的に感じているせいか、そんなにうまくいくはずがないと考える傾向か強いようです。

しかし、この現代に生きる私たちにとって大事なのは、シンギュラリティが起こるか否かということではなく。また、進化のスピードが無限大になる特異点が実現するかどうかはともかく、そこへ向かってテクノロジーがエクスポネンシャルに発展していくことは間違いないということです。

2020年代にはコンピュータの集積度が人間の脳を超えることは間違いないだろうと予見されています。日本のスーパーコンピュータ開発の第一人者の斎藤元章氏は、「エクサスケールの衝撃」という著者の中で、そのポイントのことを「プレ・シンギュラリティ=前特異点」と呼んでいます。

2045年のシンギュラリティを待たずとも、確実に起こるプレ・シンギュラリティは人類のあり方を大きく変えることになると思います。

プレ・シンギュラリティまで、あと十数年。シンギュラリティまであと約30年。
その頃には難病特定疾患や癌治療など医療分野も生命科学やナノテクノロジー分野の発展により大きく変わっていると思います。
その時、どう変化するのか楽しみですね。



長文となってしまいましたので、また次に続きます。
シンギュラリティついての説明はほぼ終わりですが、テクノロジーの進歩にはメリットだけではなくデメリット=危険性も含んでいますので、その話を次回にします。グラサン