古事記 須佐之男命(スサノオノミコト)と宇気比(うけひ) | 子供と離れて暮らす親の心の悩みを軽くしたい

 

古事記のお話です。

 

お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)とお母さまの伊邪那美神(イザナミの神)の間に、長女の天照大神様(アマテラス大神)と長男の須佐之男命(スサノオノミコト)が生まれました。

 

須佐之男命(スサノオノミコト)と宇気比(うけひ)のお話です。

 

天照大神様(アマテラス大神)(太陽)と月よみの尊様(お月様)は、お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)仰せの通り、大空(昼)と夜の国をお治めになりました。

 

ところが、須佐之男命(スサノオノミコト)はなぜか毎日、大声で泣いてばかりいました。
 

口髭やあごひげが生えるほど、体は大きくなりました。

それでも、まだ、地団駄踏んで激しく泣いて泣きやまないのです。
 

大きな鳴き声は、風を巻き起こし嵐を呼びました。

嵐は山を枯れ山にして原っぱの緑の草も枯らしてしまいました。
熱い息を吐いて泣き続けるので、川の水も干上がってしまいました。

 

それでも、須佐之男命様は、泣きやみませんから海の水まで干上がりそうになりました。

 

国の中が荒れて暗くなると、いろんなよくないことが、起こりました。

 

「なぜ、そんなに小さい子供のように泣いてばかりいるのだ?」

お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)は聞かれました。

 

「僕は、お母様に会いたいのです。」

 

お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)はとても怒りました。

 

「では、黄泉の国へ行ってしまいなさい。黄泉(よみ)の国(地下の国)へ行けばもう帰っては来れないぞ」

 

須佐之男命(スサノオノミコト)は泣きながら、家を出ました。

 

「お母様に会いたいけれど、行ったら2度と帰ってこれなくなってしまう。どうしよう」

 

余計に悲しくなりました。野原に大の字に寝て泣いてばかりいました。

青い空を雲が移動しています。
 

須佐之男命(スサノオノミコト)は泣くのをやめて、移動していく雲をじっと眺めていました。

 

「そうだ、僕も行こう」

 

須佐之男命(スサノオノミコト)は、跳ね起きました。
 

お姉様の天照大神様(アマテラス大神)のところへ行こうと思いついたのです。

須佐之男命(スサノオノミコト)は、もう泣きませんでした。

 

(参考図書:「親子で読める日本の神話」出雲井晶著)
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天照大神(アマテラス オオミカミ)(太陽)と月読神(ツクヨミ神)は、お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)から命じられた通り、高天原(たかあまはら)と月の照る夜の国をつかさどっていました。

 

しかし、須佐之男命(スサノオノミコト)だけは、伊邪那岐神(イザナギの神)から命じられた海原(地球)を治めるどころか、泣いてばかりいました。

 

当初の地球は、「国稚く(わかく)浮き、油のごとく」(国土がまだできたばかりで固まっておらず、水に浮く油のようだ)と神話に出てきます。

 

地球のほとんどが海であったので、”海原”とは”地球”のことを指します。

 

お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)はグッと我慢して、その様子をみていましたが、ついに須佐之男命(スサノオノミコト)に尋ねました。

 

「お前は、私の命じた地球を治めようとしないばかりか、なぜ赤子のように泣いてばかりいるのだ」と。

 

「私はお母さんが住んでいる地下の黄泉(よみ)の国に行きたいのです。お母さんに会いたいのです。」

 

須佐之男命(スサノオノミコト)の言葉に、お父様の伊邪那岐神(イザナギの神)は怒って言いました。

 

「では、お前はこの国(地球)には住むな!出て行け!」と。

 

須佐之男命(スサノオノミコト)は、お父様に大声で叱られてしまいましたが、次に思いました。

 

「そうだ、お姉さんの天照大神のいる高天原(タカアマハラ)に行こう」

須佐之男命(スサノオノミコト)は泣くのをやめ、高天原(タカアマハラ)に上って行かれました。

 

地球を治めていた神がものすごい勢いで、地球を抜け出して、天上へ上って行ったのです。

 

山も森も川も大揺れに揺れ、地上のものはひっくり返るようでした。

 

実際に、地球ができたばかりの時代、火山の噴火や地震や津波など太古の昔の地球は大きな地殻変動があったと言われています。

 

須佐之男命(スサノオノミコト)が向かった、お姉さんの天照大神がいる、高天原(たかあまはら)とはどんなところでしょう?

 

仏教の言う極楽浄土でもあり、天上高いところにある神様が住む世界という考え方もあります。

 

でもそこだけではありません。
 

目に見える世界と、目に見えない世界とがぴったり重なり合った世界が、高天原(たかあまはら)です。

目に見える世界は、縦横厚みの三次元の世界であり、肉眼で見ることができる世界です。
 

目に見えない世界とは、太古の昔から永久に続いている世界です。

無限空間であり、大宇宙であります。古代のご先祖様たちは、目に見えない世界を直感で感じていたのです。

 

唯物論者や目に見える物質世界しか信じようとしない人たちは、神代の世界を信じることはできないでしょう。

 

太陽とその周りを回っている地球などの惑星、そして地球の周りを回っている月。一体誰がこの一糸乱れぬ星たちの運行をオペレーションしているのでしょうか?

それは天之御中主神(アメノミナカヌシの神)です。
 

目に見えない高天原に存在していた、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)。

太古の昔から、あらゆる生き物や物質にもこの天之御中主神(アメノミナカヌシの神)は生きておられます。

 

人間は、大宇宙から見ればちっぽけな存在かもしれませんが、太古の昔から、天之御中主神(アメノミナカヌシの神)に生かされているのです。

 

なんてもったいないことでしょう。
なんてうれしいことでしょう。
なんてありがたいことでしょう。

 

(参考図書:「日本人なら知っておきたい日本神話」出雲井晶著)