京都に行こう!
ブルがそう言ってくれたけど
当日 雨で中止になってしまおうが
シャボンは全然かわまなかった。
行く事が全てではないから。
その気持ちだけで充分だったんだ。
次郎の友達が 次から次へと遊びにきた。
なんか天気が良くなってきた。
花子がバイトの用意をしだした。
シャボンが 猫ちゃんに餌をあげていたら
「いこ♪」
シャボンの横にゆっくりしゃがみ込んで
ブルは言った。
「何処行くん?」に「京都やん♪」
会話は小さな小さな声で。
次郎の友達が わんさと集まってる。
花子はバイト。
天気は良くなった。
条件は揃った、と言う事だった。
シャボンが普通な格好をしてたんだけど
ブルが キメるので
「何処行くん?!」
次郎らが言った。
慌ててシャボンが
「あ、あの、あれ!
お祖母ちゃんに良くしてくれた人にお礼を言ってくるんよ♪
ママも、こんな格好じゃな~?」
シャボンはブルの格好に合わせたがな(笑)。
皆に行ってらっしゃ~い!言われて
出たんだった。
出てすぐ雨が凄く降った。
「和傘を買ったらええやん!」
ブルが言った。

ブルはその昔、
ヒールを履いてるシャボンが転ばないように
段を気にかけてくれていた。

通る人とぶつからないように、一歩先に歩くブルが
横で歩くシャボンを後ろに瞬時に回す人だった。

そんな色々。
忘れていた昔のブルを思い出す。

シャボンが一口食べるのを待つのも
そうだった。

シャボンが瞬時に止まると、必ず止まり
そこに長い間 いようが、ずっと待ち続け

「凄いー!見て~♪」
とブルを見ると
「ほんまやな~♪」と
ニッコリと笑うブルだった。
シャボンが「もういいよ♪」と言うまで
その場でずっと いる人だった。

「この先に何があるん?怖くない?」
そう言うと、シャボンより先に歩いて
「な~んもあらへん♪」
そう言って またシャボンを待つ人だった。
シャボンはハッとした。
ブルが小さくなってる…と。
身体は凄く大きかったのに
歳のせいか、少し身体全体が小さくなってたように感じた。
京都は
今のこの歳に 本当に合う場所になってた二人。
若い時なら そう面白くもないだろう感じが
ゆっくりと流れるような雰囲気の京都を
あらゆる角度から楽しめる時間だった。
道中も合わせて4時間。
その間、シャボンは
ずっと手を繋がれてた。
買った和傘の中では腕を組み
大人の京都を楽しみ
昔に戻ったようなブルの
シャボンしか見ない言動に
こんな時間が
シャボンを安心させるんだ…
と 安心の中でいる自分が幸せに感じた。

「全然時間が足らんかった!
今度はもっと早く家を出ようや。」
そう帰り道、ブルは言ったけど
シャボンは もう充分だった。
「ううん♪いいんよ♪充分、充分♪
充分楽しかったで、ほんまに♪
ありがとう、今日は。
私は ちょっと!でも良いんよ、ほんまに。」
そう言うと
「そか?そやな。ヒロは なんもいらんー♪って
いつも何にもいらん♪言うもんな?」
ブルがシャボンに 京都で
「これ買ったろ♪」言うてくれるけど
全て拒否った。
いらん。なんもいらん、と。
物じゃないのよ。
時間。
こう言った時間だったりするんだ。
「時間やもん。それだけで良いんよ♪」
発作も出なかった。
人混みで 目眩がして
ブルに路地に連れてかれた。
ヒールを履いてもなかったけど
子供がいたら
「そこで休憩しとけ。」なはずなのに
目の前にいてくれる安心感で
少しいると 目眩は治った。
目眩で休憩する雨に濡れたシャボンの髪の毛を整えたり
そんな行動を見せるブルを
昔のように愛おしく感じ
申し訳なさが
全く無い時間のシャボンになっていた。
大丈夫な気がした。
全てにおいて。
幸せな時間だった。