6月27日。

 

G20の厳戒態勢より、雨天の気圧の影響の方が私には大きい。

 

昨日は夕方までメニエルの為ダウンしていた。

 

ホントに厄介なお荷物を背負ってしまったものだ。

 

夜はまだふらつきはあったもののなんとか回復したので、仕事を再開した。

 

地下鉄に乗り天満橋へと向かう。

 

ぼんやりとした頭でシートに座り電車の出発を待つ。

 

いよいよ発車というタイミングで、隣の車両から二人の警備員が入ってきた。

 

一人は長身の男性で車両の前方ドアの前で仁王立ちで配置につく。

 

もう一人は若い女性の警備員だ。

 

座っている私の斜め前に、同じ仁王立ちで後ろに手を組み配置についた。

 

 

 

 

G20前日から大阪は厳戒態勢で駅のゴミ箱なども閉鎖されて、なんとなく見慣れた街の風景が少し違う。

 

全国の県警から大阪に応援に来ているとのことだ。

 

このニュースをテレビで知った時は、大阪以外の都道府県に残っている警察ってどんな気持ちなのだろうかと、密かに考える。

 

 

 

交番で仕事をしている警察官。

 

近所の子供がちらちらと中を覗いてくる。

 

警察官は思うだろう。……別に、厳戒態勢に呼ばれなかったからって……補欠とかそんなんじゃないから……ってか、警察が全員大阪に行くわけないだろ!全国的に無法地帯になるわ!!

 

にしても……ああ、なんだろうこの気持ち……高校の柔道部時代を思い出す。。。

 

全国レベルの柔道部で、レギュラーだけが合宿に行ってしまった平日の学校生活。

 

そんな時に限って好きな女子が声をかけてくる。

 

「あれ?荒木君……合宿は?」

 

「……いや別に俺、行かなくていいから」

 

「あ……ごめん……」

 

その「…ごめん」が男の心をどれだけ傷つけるかという事を知って欲しい。

 

全国レベルだからってなぁ、みんながみんな柔道で進路決めるわけじゃあねぇんだよ!俺は……勉強で大学行くんだよ!悪いか!と叫びたい気持ちをどれだけ我慢していたことか。

 

合宿からレギュラーが戻ってきた時の心の解放感は……今のG20が終わった時、再び味わうのだろう。

 

そんな気持ち胸に全国の警官が働いているのかと思うと少し不憫だ。

 

 

地下鉄谷町線。

 

揺れる電車の中で目の前の女性警備員は何も捕まらず微動だにせず、背筋を伸ばして立っている。

 

別に恨みは無いが、完ぺきに静止している彼女を見ていると心の中で「…揺れろ」 「…フラフラしろ」と唱えてしまう。

 

あまりに真っすぐなものを見ると、つい歪めてみたくなるのが人間という生き物だ。(…たぶん)

 

女性警備員はちらりと私を見て、目が合ってしまった。

 

化粧……ばっちり決まってるな。。。さぞかし朝の準備には時間をかけたに違いない。

 

「今日は特別な日なの!」

 

と言いたげな目で私を一瞥し、再び視線を正面に戻す。

 

 

彼女のその真っすぐな眼差しは、まぎれもないレギュラーの輝きを放っていた。

 

 

 

PS.水飲んで早く寝ます。