東京オリンピック
1965年公開!
あの「犬神家の一族」(1976)の市川崑が総監督した、1964年に東京で開催されたオリンピックの公式記録映画!
WOWOW放送版で、2度目の鑑賞!
初見は、だいぶ前に見たWOWOWかBSでの放送版。 ← おそらくデジタル放送前の放送版だったかも?
既に、忘却の彼方だったんで(笑)、新鮮な気分で見れました!
何やら当時、アートな映画に仕上がってると関係者から猛烈な批判にあったらしい。???
今回見て、そうかなああああって?思いました!(笑)
ちゃんと、記録映画にもなってるんじゃん?って。
多分に映画的なところが気に入らなかったのか?(笑)
そこが素晴らしいのに!(笑)
そりゃああ、当時は、フィルムで撮ってるんで、全部の種目を完璧に押さえ、全種目を網羅せよっていうことは物理的に不可能。
それでも限界に挑戦し、やるだけのことはやってたと思う。
膨大なフィルムが消費されたはずで、そこからピックアップされ、映画的に編集された奇跡的な労作に、ケチをつけるとはね。
私は、素直にこの映画、素晴らしいと思いました!!
この記録映画がスゴイのは、撮影からして、映画的になってたこと!!
カメラマンがそこのところを良く分かって撮影してたように思うし、市川崑総監督からの指示もあったはず。
TV風のありがちなドキュメンタリー映像に、なってないところがスゴイんですよ!!
見せ方に演出があったりもする。
まして、シネスコサイズなんで、横長画面を意識した映像もいっぱい!!
見てて、あっぱれ! ← スタート前に横一列に選手が並んでる映像の圧倒的迫力!!
いろんな場面で望遠レンズを使ってるのか、異様な迫力も感じます!!
いやあああ、うなりまくり!!(笑)
自分、見てる途中で、思わず、膝を打っちゃったほど!
うぉおおおおお!!! これだ!!! これなんだ!!! と!!!
「東京2020オリンピック SIDE:A、SIDE:B」にないのは、ここだったんだ!! と!!
映像に大画面向きの演出がない!!
大画面向きの見せ方がない!!
もちろん、実際の競技を、意図的に演出して撮影することはほとんど不可能なんだけど、それでも、常に大画面を意識した捉え方というのはあるはず。
その視点が「東京2020」では、少なかったんじゃあないのかなあああって、思いましたねえええ。
むずかしいけど。
逆に言うと、
市川崑版は、意図的に演出して撮った部分もあるということか・・・・・。???
いわば、ヤコペッティ演出。(笑)
再現映像!?
それらが、ないとはいえないけど?(笑)、競技場面を見てると、実際の競技そのものを撮ってる。 そこにはやらせはない。
要は、もともとの撮影素材自体が、映画的になってたんで、編集で、より磨きをかけていったといったほうが正解だと思う。
スローモーションも駆使してる。 超ベテランの市川崑をはじめ、このとき、超優秀な映画スタッフが結集してたからこそなし得た奇跡ってことですね。 映画的になるのは、必然。
また、音も素晴らしく、聴いてて脱帽しましたよ!!
生音が、ちゃんと録音され、効果的に使われてたんです!!
たとえば、国旗がスルスルと掲げられていくときの音。
こんな音がするのかああって驚くほど、繊細な音を聴かせてくれたんで、感心感心。
ハードル競技のとき、足が引っ掛かってハードルが倒れたときの音。
微妙に演出された場面だったんで、その音が響いたときは、ビックリ!
いやあああ、ここも映画的!!
走ってるときの選手の息づかい、足音もしかり。 なんて、素晴らしいんだ!!!(笑)
唯一、残念なのは、クロード・ルルーシュの「白い恋人たち」(1968)のようなメロディアスな音楽がなかったこと。
当時の日本映画は、映画音楽に重きを置いてなかったから? しかたないかもしれないけど、ここに、ヒット性のある曲がつけられていれば、「東京オリンピック」は、もう完璧だったかも!!
黛敏郎の音楽は、劇音楽に徹しちゃってます!!
しかも、なんか暗い曲が多く、場面に対してミスマッチな曲多し。
感情を揺さぶられるような叙情性もなし。
どーいうこと??(笑)
ちなみにこの映画、
あの黒澤明が総監督だった可能性もあるんで、もしそうなっていたら、どうなっていたのか、想像するだけでも、楽しい!(笑)