第60話〜フェリーターミナル
出航の夜は穏やかだった。
みきはひとりで旅立つつもりだったが、
やはりふたりはそうはいくはずがなかった。
あと数時間でフェリーはみきと荷物と思い出を乗せて出航する。
ターミナルの駐車場でふたりでじっとしていた。
話すことはなにもなかった。
ただ、ありきたりの言葉しか出てこなかった。
「元気でがんばれよ」
『うん きっと帰ってくるから』
「待っている」
『ちゃんとご飯は食べてね』
「ああ」
乗船手続きが終わって、
クルマを旅客用のクルマの待ち合いスペースに移動させる時も
ずっとクルマにふたりでいた。
手は握ったままだった。
シートの間が遠く感じた。
何度キスを繰り返した。
乗船の時間になり、助手席の窓を係のおじさんが叩いた。
「時間ですから、降りて下さいよ」
恨めしく思えた瞬間だった。
「じゃあな 元気でな。頑張れよ」
『うん 行って来るね』
「なにかありゃ いつでも飛んでってやる」
『うん ありがとう』
最後にキスをして、
握りしめていた手を離し、ひろはクルマを降りた。
クルマは順番にフェリーの中に吸い込まれるように入っていった。
それをひろは遠くから眺めていた。
「待っているからな みき‥‥」
『今度帰って来るのは ひろのところだから‥‥』
それぞれの思い‥‥
みきはデッキからひろの姿を探した。
ひろは港が見渡せる高い位置から、港を出るフェリーを見送っていた。

みきはひとりで旅立つつもりだったが、
やはりふたりはそうはいくはずがなかった。
あと数時間でフェリーはみきと荷物と思い出を乗せて出航する。
ターミナルの駐車場でふたりでじっとしていた。
話すことはなにもなかった。
ただ、ありきたりの言葉しか出てこなかった。
「元気でがんばれよ」
『うん きっと帰ってくるから』
「待っている」
『ちゃんとご飯は食べてね』
「ああ」
乗船手続きが終わって、
クルマを旅客用のクルマの待ち合いスペースに移動させる時も
ずっとクルマにふたりでいた。
手は握ったままだった。
シートの間が遠く感じた。
何度キスを繰り返した。
乗船の時間になり、助手席の窓を係のおじさんが叩いた。
「時間ですから、降りて下さいよ」
恨めしく思えた瞬間だった。
「じゃあな 元気でな。頑張れよ」
『うん 行って来るね』
「なにかありゃ いつでも飛んでってやる」
『うん ありがとう』
最後にキスをして、
握りしめていた手を離し、ひろはクルマを降りた。
クルマは順番にフェリーの中に吸い込まれるように入っていった。
それをひろは遠くから眺めていた。
「待っているからな みき‥‥」
『今度帰って来るのは ひろのところだから‥‥』
それぞれの思い‥‥
みきはデッキからひろの姿を探した。
ひろは港が見渡せる高い位置から、港を出るフェリーを見送っていた。
