第52話〜一緒の朝 | Distance~時を超え距離を超えた二人の物語

第52話〜一緒の朝

ふたりで朝を迎えた。
そしてダム湖の寒い湖畔にいた。

クルマの中でみきは、
ひろに寄り添うようにもたれかかっていた。
そしてキスをせがむような仕草を見せた。

ひろはそんなみきが愛おしく思えてならなかった。

 「みき またオレと 付き合ってくれないか?」
 
 『うん』

ふたりにとって夢のような瞬間だった。

 「ここにこうしていること 夢じゃないよな」

 『うん 夢じゃないよ』

ひろはみきを強く抱きしめた。
シートの間が邪魔に思えた。

ひろはみきに、みきはひろに
別れてから今までの暮らし、お互いへの正直な思いを話した。
隠すことなどもう何もないからだった。

 「オレはオマエのことをずっと思っていた。
  忘れたことなど一度もなかった」

 『いつも、ずっとあなたのことを思っていた。
  だからどうしているのか気になって検索してみたの』

どんな女、どんな男と出会い、別れたかさえも話した。

ひろはみきの前を過ぎ去った男たちに自分を重ねた。
みきはひろと一緒にいた女たちに嫉妬した。

時折、強い秋風がクルマを揺さぶった。

またすぐに、肌を重ねたいと思ったふたりだった。










Distance~時を超え距離を超えた二人の物語-運河の街にて