第5話〜迎え | Distance~時を超え距離を超えた二人の物語

第5話〜迎え

仕事を終え電車で帰って来るみきをひろが迎えに行くことが
1週間に数日だったのがほぼ日課になっていった。

時に遠くの海沿いの街までクルマを走らせ
時に夜景が見える高台まで向かい、
二人で過ごす時間が日増しに増えていった。

ひろは親から「毎日夜にどこへ行ってんの」
みきも同時に「毎日遅いけどなにしているの」
そんなふうに聞かれるようになった。

でも明確な答えを言えるはずもなかった。

みきは勤務のシフト表をひろに渡した。
遅番と早番によって帰って来る時間が違うので、
当然駅へ向かう時間に合わせなくてはならなかった。
ひろは都合のつく限りみきを迎えに行った。

みきの持って来たHi-Fi SETのカセットテープを
ふたりはいつもクルマの中で聴いていた。
これらの曲は今でも思い出の中で流れている。

この時のふたりはまだ友だちの域を超えることはなかった。
幼なじみの延長みたいな‥‥

ひろはみきへ「オレと付き合って欲しい」と言うべきか悩んでいた。
みきがクラス会の夜に言った「束縛されるのが嫌だから、彼氏は作らない」という
そんなセリフがいつも頭のどこかにあったからだった。

もしかしたら、こうしてふたりでいることが
みきのことを束縛しているのかもいれない
みきの自由な時間を奪っているのかもしれないと思っていた。

もう少し時間が過ぎてからにしようと、ひろは思っていた。