第4話〜最初のドライブ | Distance~時を超え距離を超えた二人の物語

第4話〜最初のドライブ

雪が静かに降る道を、ひろはみきが降り立つ駅へ向かった。
心臓が張り裂けそうなくらいに緊張していた。

電車が到着する時間よりも早く着いた。
もう8時を過ぎていた。
やがて玄関からたくさんの人が吐き出されるように出て来た。
ひろは目を凝らしみきの姿を探した。
雪を払うワイパーの存在が邪魔に思えた。

会ったら、顔を見たらなんて話しかけようか‥‥
しかし何の気の利いた言葉も見つからなかった。

みきの姿が目に入った瞬間、ひろはクルマを降りた。

「こんばんは」最初にみきが言った。
「迎えに来ちまった」ひろはそう言うのが精一杯だった。

みきがクルマに乗り込むと香水の香りが広がった。
ひろは静かにその香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

「本当に迎えに来てくれたんだね」
『うん、メシは食ってないんだろ?』
「うん、まだ食べてない」
『それじゃ、どこかへ食べに行こう』
「そうね」

クルマを走らせた。
どこへ行こうかも考えていなかったが、海が見える方向にクルマを向かわせた。
そして、海沿いのドライブインへ入った。
窓の外は降り出した雪で白く見えた。

二人はとりとめのない会話をした。
クラス会の夜に話したこと聞いたこと
同じことの繰り返しだった。

ひろはみきと話すうちにだんだんとまた、
みきの魅力に惹かれていった。

あまり夜遅くに帰っては行けないと言うみきの言葉に
ひろはもっと時間がゆっくりと流れるといいのにと思いながら
みきを家に送り届けた。

『今夜は楽しかった』
「うん、また電話くれよ」
『うん、そうするね』
「それじゃ、おやすみ」
『おやすみ』

今度はいつ会えるのだろうと思いつつみきと別れた。