私はニール・ヤングの物真似が出来る。しわがれた声質と独特な歌い方。ついでに言うと、山崎まさよしのあの鼻の抜けた歌い方も再現可能。ただし、これらはあくまでも自己申告である。
ハタチくらいのころは、やたらと久保田利伸の曲をカラオケで歌っていたが、これはあまりにも自分の実力を過信した鼻につく行為だったと、自分の人生の数々の反省と後悔の中でもひときわ目立つものとなっている。男は矢張り、ニール・ヤングや山崎まさよしを細々と歌っているほうがまっとうなような気がする。
さて、ニール・ヤング。このアルバムは名作「アフター・ザ・ゴールドラッシュ 」に続いて72年にリリースされた、これまた名作。全体に流れる、温もりのある渋さ、落ち着きがたまらない。
4曲目の「孤独の旅路」は彼のソロ初の全米ナンバー1。出だしの何小節かを口ずさむのが心地良い。地平線が見えるような大地の彼方に向かって、吼えるように、嘶くように歌うのだ。全身うっすらと汗をかいてくる。1曲目の「週末に」と双璧の名曲。ギターとハーモニカだけで、男の浪漫と哀愁を歌うのだ。
弱々しいとも言えるそのボーカルが、時には繊細に、時には荒々しく聴こえてくるから不思議である。無骨なギタープレイとの相乗効果で、彼の存在感は、世界中の一流のロッカーの中でも異色の輝きを放っていると思う。彼の作る音楽は、使い込んだ木製のキッチンテーブルのように、一見格好良くないが、実は深い味わいがあり、温かく、そしてずっと触れていたくなる。色は勿論ダーク・ブラウンだろう。体臭とか、酒の臭いとか、埃の臭いとかが絶妙にブレンドされていて、最高の逸品だ。