High Time 試聴あり


私にとってのミッシェル・ガン・エレファント。それはサムシング・スペシャル。なんでこうも惹きつけられるのか。メロディーか、声か、リズム・セクションか、よくわからんが、要は、このバンドから放たれるえも言われぬアトモスフィアが好きなのだ。たぶん如何に好きかを説明しても、過不足なき物になる自信はほとんどない。開き直って言ってしまえば、好きだからしゃあない。


無駄な抵抗とわかりつつも説明を続けると、まずチバのボーカルがかっこいい。女子中学生みたいな表現だが、かっこいい。すいません。そして、チバの顔も良い。あの顔は、ロックのいろいろな要素を表現できる顔だ。いやらしさ、えげつなさ、虚しさ、高揚、喧騒、馬鹿馬鹿しさ、クールネス。ほかにもいろいろ出せる。ロッカーに生まれるべくして生まれてきた男の顔だと思う。


ロカビリー・バンドは日本で流行らないと言われながらデビューしたバンドが、ここまでビッグな存在になると果たして何人の人が想像しただろうか。変幻自在の楽曲は決して聴くものを飽きさせないし、何よりも、全篇を覆うクソッタレ感がとても素敵だと思う。カラオケで上司の前で歌えるような、お行儀の良い曲なんてほとんど書かない。ファルセットなんて死んでも使わない。汗と唾が飛び散る直球の連続が彼らの真骨頂だ。極めて潔い。たぶんものすごく生真面目でストイックな人たちだと思う。これはあくまでも勝手な推測だが。


このアルバムの2曲目に入っている「リリィ」がぶっ飛んでいる。かつ美しい。「こめかみ指でこじ開けてから意識トバして帰るよ リリィ 」とくる。そうきましたか。歌詞はともかく、何よりもメロディーが素晴らしいではないか。Aメロはクラシック音楽でも通用するような強靭で明晰な音遣い。そして、冒頭で披露するサビの高揚感が「売り」のなんでもない。


もうひとつの白眉が「ブルー・ナイロン・シャツ」。これは曲を通してずっとエバーグリーンの輝きを放つ。ベストとは別バージョンだ。チバのボーカルが若干遠くで聴こえるのがまた趣きがある。プライベート・ジェット機でぶわあんと山脈を飛翔している感じがする(もちろんそんな経験をした事はないが)。この曲は割合素直な感じで、もしかしたら上司の前で歌えるかも。顰蹙を買わないかも。


そうか、ロックは多少顰蹙を買うぐらいが、灰汁が強くて、強烈で、心を打つのかもしれない。面白くも何ともない曲を聴いているよりかは、最高に腐っていて、悪臭を放っている曲を聴いている方が何百倍も気持ち良いから。まあ、そもそもそんな曲を書けて、なおかつポピュラリティーを持っているようなバンドは数少ないけどね。