このアルバムを聴きながら家から駅まで歩くと、「アーモンドのチョコレートだけかじって過ごした」のところで決まってポストの前を通る。このヘンテコな歌詞でトリップしてしまうと、大事な郵便物を投函し忘れたりする。職場に着いてから舌打ちをすることになる。
99年のこのセカンドは、ラウドな疾走感とサイケ加減がヴェルヴェッツのセカンドに例えられることは以前に書いた
。彼等の魅力がてんこ盛りされた初期の名作だ。メロディーは頭の中を支配するようにこびりつくし、電車の中で身体が自然に揺れてくる。起き掛けから「太陽のうそつき」が脳味噌で鳴っている。
聴く者を選ぶと言われる所以のひとつに、ラストの「ミーのカー」が25分を越える大作であるということが挙げられるだろう。時間数を聞いただけで、如何に彼等が拘りを持った、あるいはコマーシャリズムに背を向けた存在であるかがわかるだろう。「焼けて潰れたミーのカー はめてもう一度ユーのキー」を冒頭で執拗に繰り返す時点からサイケデリック感覚が充満し、何処まで行って何処で止まるのか不安感を激しく煽るギターがdullに響いている。
「○○ワールド」(○○は人の名前が入る)と形容されることがよくあるが、ある意味「ワールド」を持った人には尊敬の念を持ってしまう。誰にも構築し得ない世界を見せることが出来るのだ。奇人変人とのそしりを受けるギリギリのところで、唯一無二の個性を堂々と放っている人々に乾杯、というか完敗だ。