昨日のランキングで6位に入っていたオアシス。このアルバムは彼等の97年のサード。1作目、2作目が「ブリティッシュ・ロックのエポックメイキング的」名盤だったから、少々印象の薄い感が否めないが、どうしてどうして、なかなかの力作だと思う。ノエルなどは「取るに足らないアルバム」といった意味の発言を残しているが、それは勿体無い話だ。「取るに足らない」「毒にも薬にもならない」アルバムなんて、この世界に五万とある。
「ロック・アンセム」という言葉がよく使われる。何となく雰囲気で捉えていたが、このアルバムの1曲目の「ドゥ・ユー・ノウ・ワット・アイ・ミーン」がその「ロック・アンセム」の面構えを備えていると昔から思っている。分厚い音像、大上段から振りかざしたギター・ロック・チューン、7分42秒の大作。「オレが言っている意味わかるかい?」とこれまた傲岸不遜な物言い、「俺達がロックの神なのだ」と言わんばかり。
「アンセム」とは「賛歌」「国歌」「~を代表する歌」とかいった意味のようだ。当時のオアシスの勢いや、向かうところ敵なし感を如実に表した言葉、そして楽曲である。
2曲目の「マイ・ビッグ・マウス」というのはまさしくギャラガー兄弟の「マウス」のことを歌っている。「オレの大口のなかになら飛行機だって飛ばせるぜ 誰がオレに代わって栄誉の殿堂をゆっくりと歩いていくっていうんだ?」。飛ぶ鳥を落とす勢いはもう誰にも止められなかった。いわゆる裸の王様。連日のお騒がせ報道。轟く名声と、増えるマネーとドラッグ。奇行と暴言。躁と鬱。親切さと冷徹さの同居。ブラーとの戦いってのもあった。懐かしい、「失われた90年代」のちょっとした事件だった。
確かに、前2作に比べたら、楽曲の勢いやメロディーの出来といった点で見劣りするが、「スタンド・バイ・ミー」「ドント・ゴー・アウェイ」といったこれまた大上段に構えた、「名曲」と人から呼ばれたいのであろうナンバーが存在する。失礼、これらは名曲だ。何も考えずに「帝王オアシス」の鳴らす音に耳を傾けておればよい。一切の偏見や、生理的に何とかとか、音楽的嗜好として何とかとかではなく、例えばぽっと出の新人の作品として聴けば、何と言うことはない、きっちりと美メロを書けるバンドだ、オアシスは。
成功者としての苦悩が見え隠れする。「連中は出すぎたオレを引っ込ませようと必死 だからずっと走り続けなくちゃならないんだ」。歴史的名盤を出した後、全世界で1500万枚売った後は、少しでもその歩みのテンポが緩むと、世間は容赦なく攻撃を加える。普段ロックなど聴かない連中までも騒ぎ出すから、これなんかは単なる「暇つぶし」「無意味な言いがかり」としか言い様がない。