ゆらゆら帝国が好きである。
私がこのバンドを聴き始めたのはここ3、4年だが、彼らのキャリアはインディーズの時代を含めると、優に15年を超えるらしい。ライヴに行ってみたい日本のバンドNO.1だと思うし、日本のスリーピースバンドでは最高、という評価も充分頷ける。
自分で言うのもなんだが、私の音楽的趣向の幅は割合広い。節操が無い。アダルト系からアドレナリン放出系、クラシックやジャズまで。テクノが苦手分野として残っているが、だいたい「良い」と評判が立てば、貪欲に飛びつく方だ。この貪欲さを仕事でも出せないものかと、かねがね思っている。
ゆらゆら帝国との出会いは正直忘れたが、私にとってのこのバンドは、何か見てはいけない、パンドラの箱とか、親の部屋の引き出しとか、好きな女の子の机の中とか、そういった類いの隠微な、それでいてエキサイティングなイメージを孕む存在である。バンド名からして妖しげである。フロントマンの坂本慎太郎が傾倒している水木しげる(ゲゲゲの鬼太郎、ね)の作品から来ているという説もある。ゆらゆら。これが、カタカナ名のバンドだったら絶対印象が変わっている。「スウィンギング・エンパイヤー」だったら絶対聴いてない。何とも言えない気色良い語感、ゆらゆら。絶妙だ。
多摩美術大学出身の坂本がCDジャケット等のアートワークを自ら手掛けているのも、アーティスティックで心惹かれる。私と同世代ということもシンパシーを持つ要因になっている。頑張れロックおっさん。
彼らのサウンドは一言で言えばサイケデリック。童謡みたいな曲もあるが、轟音ファズギターが唸る曲が矢張り真骨頂である。トリップ感は抜群で、当然のようにドラッグを知らない平和な一市民である私にとってのある意味合法ドラッグとも言える。中国の「ネット警察」ではないが、ゆら帝を聴いてぶっ飛んでいる人間がいるからといって、日本の警察は彼らをしょっ引いていかないようにお願いする。私のトリップなんて、けがれ無き乙女のようなトリップだから。
彼らの作品はマキシシングルも含めてほぼ全てを聴き漁ったが、01年リリースのこのアルバムが一番とっつきやすいかも。聴く者を選ぶバンド、マニア好みのバンドであるが、この「Ⅲ」は随分と端正な佇まいを漂わせたり(4曲目の「待ち人」とか)、ポップ路線でおとなしい(これでも!)とか言われれたりした。今から考えれば、のちの「しびれ」「めまい」で再び古くからのファンが小躍りするくらいぶっ飛ぶ前の、単なる準備運動にすぎなかったと、ニヤリと笑う自分がいる。
