古今東西、「雨」にまつわる曲はあまたある。レッド・ツェッペリンの「レイン・ソング」、ショパンの「雨だれ」、田島貴男の「アンブレラズ」・・・・・。いずれも心が洗われるような名曲。そして、ずばり「雨の歌」と題された逸品が、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第一番第一楽章。


ヘンリク・シェリング(VI)とアルトゥール・ルービンシュタイン(PI)によるブラームスのヴァイオリン・ソナタは、最近風呂の中でよく聴く。ちなみに、水分に強いポータブルCDデッキは、一万円以下で売っている。息子が水鉄砲を向けても壊れない。


クラシック音楽の癒し効果は、ロック音楽では得られない質を有する。例えば、職場の無骨なおっさん社員が、自分よりずっと年下の、ちょっとヤンキー系の、ホントは人の良い女の子を激しく叱責し(その理由が非常につまらない、単におっさんの虫の居所が悪かったというだけのこと)、挙句は彼女を泣かせてしまったという光景を目の当たりにした後のえも言えない不快感は、クラシック音楽でしか癒せない。


フランツ・フェルディナンドでは癒されない。ピクシーズでも、グリーン・デイでも駄目。(←最近はじめて聴いたものばかり)


冒頭の雨の話に戻るが、ブラームスの「雨の歌」、タイトルを教えられずに聴いたら、雨について書かれた曲とは気が付かない。ブラームスの情緒的な旋律は非常に好きだが、この旋律は「雨」だけにとらわれないイメージを想起するだけの奥行きがある。「恋」でも良いし、「夢」でも良い。たまたま彼の歌曲「雨の歌」の一部分を使ったからこのタイトルがつけられたらしい。


「雨の歌 ブラームス」で検索すると、「おそらく古典からロマン派に至るまでのすべての曲の中で,最も美しい旋律であると私は考える。」という一文を発見した。 やや言い過ぎの感は拭えないものの、気持ちはわかる。この人は多分ヘッドフォンでこの曲を聴いて、ウットリしながらこの文章を書いたものと思われる。正に音楽は媚薬である。


試聴あり (ただし、ズッカーマンとバレンボイム盤)


Brahms:The Violin and Viola Sonatas