Kissin @ Barbican | 日々是好日

自腹で日本行き航空券を購入した今となっては、何をそんなに迷っていたのだろうと不思議になるくらい迷いに迷ったEvgeny Kissin@Barbican (£55-)へ行ってきました。っていうか、今朝、開演時間の確認に再度ウェブサイトを見てみたら、なんだか£40-(なのに僕の席よりずっと前)の席が結構売りに出されていて狐につままれた気分ではあるのですが、されどKissin。日本での大昔のKissinフィーバーな記憶を思うと日本では手が出ないだろうし、(Kissinのウェブサイト を見るとかなり精力的に巡業しているのですが)ロンドンはこの先しばらく公演が無い。というわけで、いろいろ自分に言い聞かせながら、いざBarbican。っていうか、Barbicanって、考え込まれたであろうオサレな集合住宅内にあるのですが、いつも上手くたどり着けるか冷や冷やする謎の立地。


と、その前に、今日は、大家さんがしばらく仏にスキーに行っていて不在なので、

・朝6時前に起きて、

・気兼ねなく洗濯2回して、

・気兼ねなくご飯を炊いて、

・クリーニング屋へ行ったら、そこのオネイサンに「今日はなんてbeautifulな天気なの!」と開口一番言われたので、

なるほどと思い、日中からロンドン中央に出ることにしました。(いつもなら、夜の公演がある時は、日中に動きまくると本番で眠たくなるので静かにしている系です。)


なので、

・まず、ロイヤルフェスティバルホール裏の屋台で、ポーランドソーセージサンドを食べ、

・この頃よく見かける、卵展示 を冷やかし、

・TATE BRITAINまで歩き(←この頃、全然歩けます。ちなみにVictoriaとPimlicoの間ゾーンが意外と面白かったです)、

・年間パスの元をとるべくピカソ展を観(2回目)、

・TATE BRITAIN催事の14:30からのEnglish National Balletのリハーサル を観、
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・TATE BRITAIN内でランチし、

・チャイナタウンまで歩き(←歩けます)

・チャイナタウンYoung Chengでご飯を食べ、

・Holbornまで歩いたついでにBarbicanまで歩けてしまいました。(←歩けますが、バスとかの方が、、、)


そして、いざKissin。

ちなみに、Kissinへの思い入れも、今回の楽曲への思い入れも特にありません。でも、Kissinは遠い記憶に、そのもじゃもじゃヘアーがしっかり刻まれています。


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Beethoven Sonata No 14 Op 27 No 2 'Moonlight Sonata'
Barber Sonata Op 26
Chopin Nocturne As-Dur Op 32 No 2
Chopin Sonata Op 58, No 3

Evgeny Kissin piano


さて、Barbican。入ってみれば、ほぼ満席でした。ふ~む、やはりちらほら日本人客を見かけます。

・着物着てきた人

・日本で西本智美とかを追っかけているようなのと似た匂いの人

・久々に見た、前髪パッツンに切りそろえて、コケシのようなメイクをした人、、、

まぁいいです。


でも、会場を見下ろしてビックリ(っていうか、さすがBarbican、2階席の一番後ろから2列目でも良く見えます)。舞台のピアノの後ろ側にも席が2列あって、前列中央の左側に座っている極東(日本人とは断定できませんが、確率は高い気が)の30代カップルの男性、、、なぜ、そんなにいい場所で、ジーンズに帽子付のスウェット、そして椅子の脇にリュックサック。。。女性も(まるで年の瀬の借金取りのような)不必要に大きいバッグを椅子の下に置いている。そして、前列中央の右側に座っている極東(日本人とは断定できませんが、、、)の60代カップルの男性、、、なぜ、そんなにいい場所で、カカトを反対の足の膝に乗せる足の組み方をして聴くかなぁ。。。以前、どこかの似たようなシチュエーションで、上下ともジーンズを着た日本人女性がいて、例えそれがヴェルサーチでも、シャネルでも、ジーンズは無しだよねぇ、と痛感したのを思い出しました。


そして、開演。

育ちの良い王子様のように現れ、ちょっと首を傾けたかのような感じでお辞儀をして、ささっと演奏が始まりました。


っていうか、何か全然違いました。


弾くとか、弾き込むとか、(日本人にありがちな)針の穴に糸を通すかのような正確で鋭い感じとか、そんな感じでは全然無くて、ピアノという目の前の楽器を凄く響かせるといった感じの、未体験ゾーンにいきなり突入しました。(素人感想ですけど)


この響きまくり感って、何?調律師の腕?Kissinの好み?Barbicanの構造的特徴?何?

全然念じ込めた弾き方でもないのに、ピアノがぐいぐい鳴っていきます。どこかにマイクとかあるのかと目を凝らしてしまうほど。でも、空気を伝わってくるバイブレーションは生のバイブレーション。なかなか興味深い、未体験ゾーン体験。

続くBarberは全く知らない曲でしたが、かなり腕前に魅せられました。でも、個人的感覚としては、超速超絶技巧より、ゆっくりしたテンポの部分にKissinの凄味を感じました。


休憩を挟んで、2曲。これまた全然記憶にない楽曲でしたが、眠らずに最後まで聴けました。そして、拍手は鳴りやまず、結局、3曲もアンコールがありました。2曲目にはベートーベンのトルコ行進曲(由紀さおり姉妹が歌っているのはモーツアルトの方です 、ちなみに)も。っていうか、一番印象的だったのは、曲の前に、Kissin自身が”〇〇やります”って地声(?)で言う声が聞けたこと。想定外に高い声でもなく、ソフトな感じでもなく、実直で賢い人の声で好感でした。


ほんとに拍手が鳴りやまなくて、個人的には、え、まだ引っ張るの?とすら感じましたが、それもKissinの人気なんだと思いました。その都度、舞台に出てきて、ちょっと首をかしげた感じで会場&後ろのお客にお辞儀をする姿は、(いい意味で)観客サービス度の高い演歌歌手のようでもありました。


この頃、ホロヴィッツのラフマ3番を良く聴いているのですが、ふーむ、アラフォーKissinというのもイイな、と思いました。凄い巨匠だけどお爺さんといった層でもなく、ガツガツ地位を築きたい若手でもなく、ムターのような熟した感じでもなく、爽やかに育った王子様のようであって、でも、力強く弾き込む体力技術余裕もあって、でもソフトでスローな部分に光り輝く部分もあって、、、、なかなかKissin的な人って、、、他にいるのかな、と思いました。


CDでもDVDでもなく、今、目の前で空気のバイブレーションを体感できる幸せを実感できたのは、かなり久しぶりな感じでした。なんか、ロシア(ソ連)ってやはり凄いかもとか、なんかラフマの3番(CD発売済)も聴いてみたいかも、とかいろいろ夢が膨らむ、いいヒトトキでした。