いつもありがとうございます。ヒロ之丞です。

 

DAPを久しぶりに購入した。

 

ポータブルオーディオ熱は随分前に冷め、最近はピュアオーディオ熱も落ち着いてしまい、音楽を聴く時間自体が減少していた。

 

過去の遺産であるCIEMを売ろうと思ったら、買い取ってくれるモデルが限られている上、二束三文の買値でバカバカしくなった。憤慨しつつ自分で聴くことにした。

 

Fiio X5とQuestyle QP1Rは手元に残してあったのだが、気持ちを刷新したくて売却した。売る前に改めてちょっとだけ聴き直したが、まあそれなりの音だと思った。ゆーても、ポータブルの音は奥行きがなく平板だ。

 

数年前ならせっせとDAPの試聴に出かけたのだろうが、実際そうした方が失敗は少なかっただろうが、今回は2、3日ネットでレビューを読みまくって即決した。それがFiioのM15である。

 

結論から言うが、奇を衒わない真っ当な音、正統派の音だ。ポータブルでここまで聴ければ十分かなという気がする。

 

旭化成のDACチップうんぬんは措いといて、音が滲まず濁らず混ざらず、それでいてまとまりは失われず、どんなジャンルもこなせる。そつがない。

 

過去には同じFiioの初代X7を買って速攻で売却したが、あの劣悪ハイパードンシャリに比べると、隔世の感がある。

 

なので自分としてはけっこう満足しているのだけど、人に薦められるかと言われたら、そんなに猛烈にプッシュするほどでもない。

 

それはこういうことである。

ZOOMのリモート会議用に、FOSTEXのPC100USB-HR2を購入したのだが、価格は1万円もしない。DACチップが何を使ってるかすら知らない。

 

自宅の何の変哲もないWindowsパソコンのUSBポートから、このPC100USB-HR2に安物のUSBケーブル、音質改善グッズ(3万円くらいのインフラノイズUSBアキュライザーUACU-700)でつなぐと、同じイヤホン(senheiser momentum in-ear i)で聴いたとき、明らかにM15より音がいいのだ。

 

音色自体としてはさほど変わりないのだけど、音圧は明瞭に違くて、低音の適度なアタック感、中音のノリの良さ(グルーヴ感)が、M15より圧倒的に豊かな音楽性を感じさせる。音圧の違いは電圧の安定度の差か?

 

M15はどちらかというと、外から冷静に観察して聴いているようなメタリスニング感があり、音楽の全体構造はよく把握できるが、聴き手がその熱気の渦中に没入することはできない。

 

PC100USB-HR2のパソコンはオーディオ用ではなく、普通にビジネス用。これがJPLAYとかDIRETTA等、音楽に特化したパソコン利用だったり、ピュア系の据え置きシステムになると、当然音はもっとよくなる。金額もうなぎ上りだけど。

 

いくらM15の音が突出していいといっても、まあその程度なのだ。現在M15は中古でも10万円前後すると思うが、果たしてそれでコスパがいいのかと言われると、正直迷う。

 

かつてはDAP本体と同じ大きさのポータブルアンプを太いゴムで束ねて、涙ぐましいサイズ感で外に持ち出したものだが、それと互角かそれ以上の音を、M15のサイズ感で外に持ち出せるようになったというのは、驚異的な進歩だと思う。

 

でもあと5年もすればもっと良くなる気もするし、買い時が難しい。オーディオに10万円というのは、マニアでもない一般的な常識人からしたら高額だろうな、やっぱり。

 

外でそこそこいい音を聴けるDAPに、どこまで価値を感じるかが、判断基準となるのだろう。

そんな資金があるならiPad miniでも買った方が良くないか?というのは、俺もそう思う。

 

P.S.

そして、売ってしまった…(笑)。

昔ほど外で音楽を聴きたいという欲望がなくなったので、DAPを活用するシーンがなかった。

 

以前は生活のためにやりたくもない仕事をしなければならず、常に神経を麻痺させておく必要があった。

自分の「内なる叫び」から気を逸らすというか。外でも強迫的に音楽を聴き続けたのは、そのためだと思う。

 

意識をフリーにしておくと、「俺はこのまま、不毛な仕事を続けていていいのか」とか、いろいろ考えちゃうから。

そういう聴き方だったから、素晴らしい音に囲まれていても、あまりハッピーではなかったな。

 

最近は夜にYoutubeを見るときにイヤホンを使うぐらいなので、DAPよりもPCに繋ぐ用のヘッドホンアンプを購入するべきだったと思う。

いやいや、M15を売らずに、USB-DACとして聴けばよかったではないか、と言われるかもしれない。

 

私見では、高音質の決定要因=電源である。ポータブルオーディオのボトルネックになるのは電源であり、

自宅で聴くのにわざわざ厳しい電源条件のポータブルDAPを利用する気にはなれない。俺の評価ではPC100USB-HR2に負けてるし。

 

もちろん家庭用電流が汚染されているからバッテリー駆動のほうがいいという意見もあるであろう。

そういう意味では、自分は一音一音の粒立ち(解像度その他)よりも、音の強弱や圧の緩急(リズム)を楽しみたいのだと思う。

 

とはいえ、我が家の電源タップは、もう空きがない(笑)。

ここまで電源の重要性を力説しておきながら、バスパワーで駆動させるしかないのだが。

というわけで、ヘッドホンアンプよりもDTMのインターフェイス(babyfaceとか)を選ぶほうがよさそう。持て余すかな?

 

まあPC100USB-HR2でも全く不満はないので、別にこのままでも不自由はない。

特に人声を聴きとりやすいので、Youtube視聴用途にはPC100USB-HR2はおすすめできる。