いつもありがとうございます。ヒロ之丞です。

HKエレクトロニクス HK-2010
連休の影に、真空管アンプキットあり。
いや、すでに先週から手を付けているのだけれど。

プリント基板というから、半日で完成すると思っていた。
なにせ吾輩は、プッシュプル手配線をキット初体験にして完成させた、天才中の天才だからだ。

…甘かった。今回も泣きが入った(笑)。

サンバレーほど親切なマニュアルは付属していない。
もちろん、マニュアルの配線図を見れば必ず完成するようには作ってくれている。

…まあ音が出ない。
今回はスイッチを入れても、真空管が灯りさえしなかった。

真空管が灯らないということは、真空管のソケットに電流が達してないということである。
それは、プリント基板のハンダ付けが失敗したことを意味する。

しかしながら。すでに全ての配線が終わり、プリント基板もシャーシに取り付けられていた。
プリント基板を外すためには、配線のいくらかを溶かさなければならない。

先週は横着して、シャーシの底板を外した。
これはプリント基板のボルトだけ外してもダメで、電源トランス、出力トランスのボルトも外す必要があった。

そして裏返し、プリイント基板の裏側へ。散乱する平ワッシャー、ナット類。いくつか紛失した。
その上で、あまりに美しい"芸術的"ハンダづけを、全てを包み込む"みな殺し"ハンダ付けに変えた。

プリント基板のハンダ付けには、それ特有のスキルが必要なことが分かった。
小さい平面にハンダ付けする必要がある。広く付けると、他のラインがつながってしまう。ショートの危険。

プリント基板の裏側はそもそも金属部が少ないので、熱してもハンダがそちらに遷移していかない。
頑張ってハンダを流し込んでも、球になって落ちてしまったりする。

右手のハンダごてを先に離す。
その際、接合部のハンダがハンダごてについてこないように、左手のハンダで抑える。

そうすると左手にもったハンダの先が癒着するので、それを右手のハンダごてでカットする。

何とか真空管が灯るようになった。
けど、音は出なかった。先週はそこまで。

今週は覚悟を決め、配線を溶かし、プリント基板だけを完全に取り外した。
抵抗の値が正しいかどうかをカラーコードと付き合わせて確認。問題なかった。

あとはしらみ潰しに、ハンダ付けを強化。必要なのは執念のみ。
プリント基板をシャーシにとりつけ、他のハンダ付けを念入りに強化した。

ここでアクシデント発生。
ラインセレクター部に、GREENのLEDが5個あるのだが、1個の足が根元から折れた(涙)。

入力ラインが5個あるのだけど、なぜかライン5のLEDが点灯しなかった。
それでガチャガチャやっていたら、ライン1の足が折れてしまったというわけ。

そこから先は無我夢中でやり、何をどうしたのか覚えていない。
気が付けば何とか音が出るところまで、漕ぎつけていた。フッ、やはり天才だぜ。

とはいえ、まだ随所にノイズが残っているので、完成とは言い難いが…。

イメージ 1

音の特徴は、ファインメットコアの恩恵か、S/N良好で端正な音。
真空管のプリというより、KSLが制御しているような特性のよさを感じる。

真空管らしいクセある味わいは少なくなっているが、音の良さは際立っている。
スイッチを入れた直後は「ジー」というノイズがあったのだが、音を出しているうちに消えた。

最初は平板だった音も、徐々に立体的になってきた。やはりこの音は、トランジスタでは無理だ。
低音が深いので、しっかりしたピラミッドが形成できていると思う。タメのある躍動感あり。

やたらワイドレンジで、底堅い印象。腰高にならず、低いところから支えている音。
このプリを入れることで、グレードが上がったと説得力を感じさせる音であり、気に入った。

今回のキットについての感想だが、初めての人にはキツイと思われる。
部品も、ネジひとつとっても予備が入っていない。失敗して折れたりなくしたりしたら、そこで終わりだ。

ハンダ以外にも、セメダインや星形レンチ(T6)が必要だったりする。
ボリュームのシャフトカットなんて書いてあるけど、太い太いシャフトをどうカットするのか?

初めての人には、サンバレーが最適だと思った。
あのカラーマニュアルが秀逸だし、初心者がつまずかないようにいろいろ工夫されている。

音出しまで独力でやり遂げたという自信がつくことが大きい。
その自信は、次のキットで必ず役に立つ。

自分も今回、その自信がなかったら、挫けていたかもしれない(笑)。
まあ20万以上出して、そう簡単に諦めるわけにはいかないのだけれども。

P.S.
行き詰った際、大西先生に泣きついたところ、いろいろ丁寧なアドバイスをいただいた。
このキットを作って困ったことがあれば、迷わず大西先生に相談すべきだ。