
その前に、今までの自分のSNS、そして地域SNSが導入された背景に関する記事を一旦整理しておく。
[SNSとはなにか]
■ソーシャルネットワーク=リアルな(信頼できる)人、友人、知人のつながり
■SNS=インターネット上でのリアルの友人・知人との交流の場
[地域SNS導入の背景]
地域SNSの多くは2005年、2006年に導入されており、それらは総務省、およびLASDEC(地方自治情報センター)の助成金を元に構築されている。また、その導入に当たっては、LASDEC SNSもしくはSo-net SNSのどちらかが利用されている。それらは、地域SNSに特化したSNSサービスではなく企業の「社内情報共有や顧客とのコミュニケーションツール」として開発されたものである。
では、地域SNSに求められる機能、サービスとはどのような物か。
これは、地域、解決したい課題等によって当然ながら異なるべきである。
ここでは一般的な事例を元に、地域で必要とされる「ソーシャルグラフ」について考えてみたい。
[現在地域社会が抱える課題]
1. 少子化問題、核家族化
自分達が子供の頃は、核家族化があまり進んでいなかったため、家族の中でも様々な大人に接することが出来た。実際、自分自身6人家族だったため、祖父母、父母、兄弟と接することで家族が小社会として機能していた。しかしながら、現在は少子高齢化が加速しており、核家族化も進み、現在の平均世帯人員数は2.62人。1家族に対して夫婦のみもしくは夫婦と一人っ子と言うのが一般的な数値である。
現代社会では家族のつながりも疎遠になりつつある中、教育においては「すべての大人が子どもたちの育成にかかわる」と言うことが重要。すなわち、以前家族が担っていた子供の育成に対する義務を地域社会を小家族と見立てて行う必要がある。
2. 人口減少、超高齢化
少子高齢化と先述の少子化と同等に語られることが多いが、今後の日本は確実に少子高齢化へと急激に進んでいく。(2050年には1億人を切って9,515万人になり、今後44年間で3,260万人減るとも言っている。)人口に占める高齢者の割合についても、既に高齢者が35%を上回っている自治体もある。
高齢化社会の課題については、消費者の減少による経済的な課題などもありますが、今回は「ソーシャルグラフ、地域のつながり」の観点でのみ触れたい。
a. 社会的孤立:高齢化と共に行動範囲が急激に狭まるため、高齢者のコミュニティは脆弱化していく。また、地方においては生活者の大半が高齢者であるため、コミュニティの形成そのものが難しくなっている。
b. 日常生活への不安:地方では人口減少が激しいため、生活に必要なパイプラインの供給が難しい地域もあり、日常生活そのものに影響が出てき始めている
c. 生きがいの喪失:高齢者へのアンケートによると、生きがいと感じることとして「趣味やスポーツに熱中している時」、「孫など家族との団らんの時」、「友人や知人と食事、雑談している時」などが上位を占める。一方で年齢が進むにつれ、外出の頻度も減少しており、生きがいを感じると答える人が少なくなっている。
3. 地域コミュニティの欠落
既存の「町内会」、「回覧板」、「子ども会」などの地域でのコミュニケーションツールが老朽化している。また、地方によっては、昔から住んでいる人が中心で、後から越してきた人は、よそ者扱い。地域に馴染もうと必死になっている人もいましたが、入れてもらえない雰囲気。と言う意見もある。
また、若い世代においては密な地域のコミュニティを嫌う傾向もあり、地域行事の必要性についても不要と考える人も多い。
[地域SNSに求められるもの]
その他にも解決しなければならない地域の課題は多々あるが、大きく分けると
(1) 少子化、核家族化に伴い旧来の「大家族」的な役割が必要
(2) 超高齢化社会、人口減少による高齢者の社会的孤立とそれによる日常生活の不安の解消
(3) 現存する地域コミュニティの老朽化による代替コミュニティの構築
というものになると思われる。
即ち、これらを解決するためのソーシャルネットワークの構築が急務であり、そのためにどんなツールを自治体として提供出来るか、そしてその提供手段をどうするかと言うことから考えていく必要がある。そして、これを元に、サービス要件、システム化要件を検討し、どこまでをSNSなどの情報化ツールで担い、どこまでをリアルの地域社会で担うべきかを考えることが先なのである。
例えば、上記を元に自分なりにいくつかサービス要件を定義するとこのようになるかと思う。
・実際に近所に済む「信頼性の高い」人とのつながりとそれを利用した育成環境(小社会の形成)
・子供と大人、大人同士が互いに相談出来る場の提供(仮想家族的なコミュニティの形成)
・高齢者に対する知人、友人どうしのつながりの維持(社会的孤立の回避)
・外部とのコミュニケーションが困難になった高齢者への社会的なサポート(社会的孤立の回避)
(地域でサポートできる要員の確保、定期的なコンタクトなど)
・かんたん、かつ軽く(あまり密ではなく)地域内の人とつながる事ができる仕組みの提供(地域コミュニティの再構築)
・地域内で自発的に(押し付けではなく)イベントを実施、参加できる仕組みの提供(地域コミュニティの再構築)
ざっと数日で考えたサービス要件なので、まだまだ抜けがあるし、精査が必要であるが、このように考えると、OpenPNEで提供されている既存の地域SNSにおいては必要な機能の不足や不要な機能などが沢山ある。
[まとめ]
OpenPNEを利用したSo-net SNS(手嶋屋)については、そもそも各社が地域SNSに特化したパッケージではないため、技術的に過不足があると認めているが、LASDEC SNSについては総務省で1億100万円もかけて実証実験を行った上で導入されたパッケージである。にもかかわらず、自治体が抱える問題に対応出来ていない、ただの「Myspace、GREE、mixi」をベースとしたSNSであることは嘆かわしい。
とは言え、So-net SNSを導入した自治体についても、導入に当たっては、それが実際の地域コミュニティの形成に効果的か否かの要件定義は実施しているはずだし、すべきである。また、導入後の再評価を元に、必要なサービス、不要なサービスの抽出を行った上で改善を行い、継続するか否か判断すべきである。
ほとんどの自治体ではそれらが行われることなく、2005年、2006年に地域SNSを構築してから、毎年運営費を払い続け、今年減価償却を向かえ、サービスの継続を考える時期に来ている。
今では、ソーシャルグラフの形成、ソーシャルメディアに求められる物も変わりつつある。
また、5年の月日を経てSNSやインターネット上でのソーシャルの考え方自体も変わってきている(mixi、GREEが模倣したMySpaceは衰退の一途をたどっているなど)
地域SNSが不要だとは言っていない。地域でのソーシャルグラフの形成は必要だと考える。しかし、それが5年前に何のサービス要件も考えずに構築した地域SNSサービスが、現在の社会で必要なソーシャルグラフの形成に貢献出来るとは思わないのである。
次回は最終回。地域SNSに求められるもの、サービス要件を詳細化し提言したい。
[参考]
1. 地域SNSの導入に当たっては特にその地域のソーシャルグラフに関する分析、形成したいソーシャルグラフとはなど具体的な検討がないまま入札を行い、上限400万円と言う金額の中で「LASDEC SNS」、「So-net SNS」を担いだ業者間で競争入札を行って、安い方に決まったと思われる。
実際、So-net SNSの元となるOpenPNEと言うオープンソースを作成している手嶋屋のブログには、下記記述がある
「コミュニティ運営能力」「技術力」「資金力」の三つが必要だが、地域SNSは特に技術力が足りない。
われわれの技術力が圧倒していれば、使いやすいサイトになるのだが、OpenPNEは地域向けに専用で作られているわけでは無いのでどうしても不足してしまう。こうした足りない部分を、改良して使ってもらえるとうれしい。
即ち、元となるパッケージそのものが地域SNSを考えて作られているわけではないので、足りない部分は改良が必要なものなのである。しかしながら、多くの自治体では改良を行うことなく、画面をカスタマイズしたのみで運用されている。
■So-net SNSの紹介資料:http://www.so-net.ne.jp/solution/products/service/sns.html
■手嶋屋 OpenPNE 紹介資料:http://www.openpne.jp/
■手嶋屋ブログ:http://www.tejimaya.com/201102100205-%E5%9C%B0%E5%9F%9Fsns%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A%E9%9D%99%E5%B2%A1%E6%8E%9B%E5%B7%9D/
■LASDEC SNS: http://sns-user.cafeglobe.com/tokucho/index.htmlM
2. 大牟田市の情報公開を参考に、現在の地域SNSの利用状況を見るが、アクティブユーザ数も214程度でほぼ横ばい、会員登録者数についてもほぼ横ばい(即ち、新規登録者がいない)状況が続いている。
(例)大牟田市 おおむたSNSについて:
■12月中の増加数(対先月比):
- 登録者数(+2)
- アクティブユーザー数(+1)
- 日記総数(+174)
- 日記コメント数(+682)
- フォトアルバム総数(+4)
- フォトアルバムコメント総数(+75)
- コミュニティ総数(+2)
■1日あたりアクセス数
- 12月中平均 2,694
- 最大 12,353(12月09日)
- 最小 1,885(12月19日)
※おおむたSNSは、今後近隣自治体のSNSと統合される予定。ただし、機能は維持。(近隣の自治体で共同運用することで負担金を減らすのみで、サービスの見直しは行わない。これで良いのか、また反対意見はなかったのか疑問)
http://tsutsuji-net.jp/modules/topic/topic_view.phtml?id=219462&grpcd=129818
3. データ
(事業費)
■2005年 ICTを活用した地域社会への住民参画のあり方に関する調査研究事業(総務省、予算規模:1億100万円)
■2006年 e-コミュニティ形成支援事業 実証実験(LASDEC、助成金:上限400万円)
■2007年 「まちかどリポーター」公募(LASDEC、助成金:上限500万円)
(主な地域SNSパッケージ)
■LASDEC SNS(株式会社 カフェグローブ・ドット・コム)
■So-net SNS(ソネットエンタテインメント、手嶋屋)
