最近あらゆるところで聞く、松浦亜弥の再評価の声。自分はデビュー当初から松浦さんはわりと好きでした。この人は歌もうまいし、いい歌をたくさんもらったら絶対いい歌手になると思ってたのですが、器用さ故にあまりにもステレオタイプなアイドルイメージがつきすぎた活動中期以降は、それが足かせになってしまってましたね。

このアルバムは活動後期にリリースされたアルバムで、カバー、セルフカバー、新曲をミックスした内容となっています。

幕開けは思いっきりジャジーでかっこいいサウンドの「The Difference」のカバーから。オシャレなバーで呼吸感の伝わる生演奏を聴いてる雰囲気。この時点で、アイドルのアルバムという先入観は消えます。

いちばんのオススメは「横浜ロンド」。結ばれない恋をせつなく歌いあげるのですが、マイナーコードのメロディアスなサウンドと彼女の声質がベタハマり。彼女のパブリックイメージはたぶん「陽」なのでしょうが、こういう世界観も似合うことに気付きます。

ほかにもスガシカオのカバーで、自分自身の内面と向き合うように噛みしめるようなボーカルが印象的な「ホームにて」、森高千里とデュエットで吹き込みなおした叙情的な「渡良瀬橋」、オリエンタルなサウンドが彼女には珍しい「語り継ぐこと」(元ちとせのカバー)もいいです。

そして、ラスト三曲(「only one」、「ひとり」、「みんなひとり」)の配置が絶妙。詞の世界はそれぞれ全く異なるのだけど、描かれている大人の女性の心情を等身大に表現できていると思います。活動中期に見受けられた歌唱の変なクセが消えてるので、聞き手が感情移入しやすい自然なボーカルに成長しています。

現在は音楽活動はお休み中ですが、いつか復帰したら大人の鑑賞に耐えうる素敵な楽曲を届けてくれる、そんな期待を抱かせてくれる作品だと思います。



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