今回はイギリス出身のシンガー・ソングライターCorinne Bailey Rae(コリーヌ・ベイリー・レイ)の

1stアルバムを紹介します。


彼女は現在27歳。15才のころから、地元のジャズクラブでバンド活動をしながら、昨年ようやく本国でソロシンガーとして、

デビューしたそうです。新人ながら本国のアルバムチャートで一位を獲得。日本でも注目されました。

さてさて、このアルバム、一言で言えば「自然体」な感じがするなぁ、というアルバムでした。

ジャンルで言えばソウル、R&Bにカテゴライズされるんでしょうけれども、パワフルにぐわーっと歌い上げるでなく、

ギターを抱えながら、自然に優しく風のように…(表現が陳腐でスンマセンガーン)歌ってて、非常に聴きやすいです。

ずかずかと人の心に踏み込んでくるというよりは、そっと寄り添っているような感覚…。わかるかなぁ。


アルバムは「Like A Star」からスタート。アマチュアバンド自体に書いたという曲は穏やかなギターサウンドによる

切なくもキュートなバラード。大好きな人の前だけで見せる本当の自分について歌ってます。


続く「Enchantment」も好きな人に対する一途な思いが、切々と歌われるバラード。この曲は切ないコーラス、

サウンドの雰囲気が、数年前に日本でも話題になりかけたJade Andersonの楽曲に似てる気がしました。


「Put Your Records On」は前2曲よりも少しだけテンポがアップ。ソウルフルなコーラスやトランペットやサックスの

音色も印象的です。サウンドの雰囲気は躍動的だけど、詞の内容はうまくいかない日常にとまどいながらも、

「音楽を聴いて気分転換しましょうよ」というもの。音楽好きな人なら気持ちは良くわかる歌。


「Till It Happens To You」は僕も好きなNatasha Bedingfieldの作品にも関与した、Paul Hermanも

制作に携わった若干陰鬱な雰囲気のブルース・ソング。前半4曲で漂っていたポカポカした陽だまりのような

音楽世界を打ち消すような、ものすごく暗い歌です。


「Trouble Sleeping」はタイトルどおり、恋や日常生活で悩んで眠れない夜の様子を歌った歌。

カーディガンズとかのスウェディッシュ・ポップ風の、おしゃれサウンドになってます。


「Call Me When You Get This」はハモンドオルガンの音色が軽やかなポップソング。

詞も愛で満たされて幸せいっぱいの様子を歌ってます。


「Choux Pastry Heart」は好きな一曲ですね。ほかの曲と違って、冒頭からピアノが主導権を握って

つぶやくように、また、ためいきのように、歌が始まります。恋の終わりを歌った悲しい歌で、言葉にならない感情を

ピアノが表現しているような感じ。ファルセットも切ないです。


「Breathless」は友達以上恋人未満の淡く微妙な関係を歌った、ライトソウルナンバー。


「I'd Like To」はアルバム中、一番ヒップホップ色が強い曲。これまた前述のPaul Hermanが制作に関与。

これはホーンセクションのアレンジがかっこいいですね。Corinneの歌い方も一番ソウルフルですし。

まぁやり過ぎない、「ソウルフル」だとは思いますが。Natasha Bedingfieldにも合いそうな曲です。


「Butterfly」もいい曲ですね。自分を育ててくれた母親への感謝の気持ちを歌った温かいポップソング。親の元から

巣立った自分を蝶に見立てて、自然に外の世界へ飛んでいこうとする姿を歌ってます。


「Seasons Change」はブルースナンバー。「人生の悪いときはいつまでも続くものじゃない、

頑張っていればいつか報いが来る」ということを歌ったものです。


そして日本盤ボートラ、穏やかなギターポップ「Another Rainy Day」まで全12曲、

シンプルかつコンパクトな構成ながら、聴き終わったあと、なんだか心がポカポカするような作品だと

思いました。


UKのR&Bの場合はアメリカのそれと違って、力みすぎてない傾向があるんだけど、

彼女の場合もまさしくそれ。冒頭でも書いたように、本当に自然体。聞き手をあおるんじゃなく、

ゆっくり歩いてるようなテンポ感がいいなぁと思いました。

コリーヌ・ベイリー・レイ
コリーヌ・ベイリー・レイ