今日は宇多田ヒカルの4年ぶりにリリースされた4thアルバム「ULTRA BLUE」のレビューです。
この4年の間にUtada名義の「EXDOUS」はあったものの、彼女の独特な日本語の使い方とか
歌いまわしがとても好きなので、このアルバムのリリースを心待ちにしてました。
そして、「待った甲斐のある」作品だと思いました。
アルバムは近未来的なデジタルサウンドに乗せて、「これが愛です」という意味のタイトルとは
裏腹に、きちんと定義することのできない「いろんな愛の形」について歌われる
「This Is Love」からスタート。このサウンドは結構好きですね。
ちょっと「traveling」をほうふつとさせる感じで
。Hikkiのこういう感じ久しぶりだし嬉しかった。
続くは「Keep Tryin'」。これまたちょっぴり幻想的な雰囲気のするサウンド構成ですね。
ふわーんと浮かんでるような感じ。心地よいシンセサウンドです。
シングルで出た頃は、「Be My Last」、「Passion」の次にこれが来たので、
「久々に明るめだな」くらいの印象だったんだけど、アルバムの中で聴くと、映えますね。
いわゆる応援歌なんだけど、やみくもに頑張れ頑張れいうような押し付けがましさは
なく、「力を入れすぎずほどほどに、けれども、前を向いてゆっくり行こうよ」というような
気楽な感じがステキです。ただ詞の「将来、国家公務員だなんて決め付けちゃうのは夢がない」
って部分はわかるけど、「将来サラリーマン」って決めちゃうのも夢がない気もしますけどね
。
そして「BLUE」は、心のなかの「痛み」や「寂しさ」を感じつつも、生きていかないといけないことへの
不安や葛藤を表現した美しいピアノポップ。「栄光なんて欲しくない/普通が一番」とか
「もう一度感じさせて/技よりもハートで」というフレーズが好きですね。
そして「日曜の朝」はマイナーコードながらはねたリズムに乗せて歌われるナンバー。
自分のペースで好きなことが出来ることの大切さを歌っています。個人的に
「BLUE」~「日曜の朝」の展開が好きです。
「Making Love」は遠くはなれることになった、親友の女の子へのメッセージ・ソングに
なってます。キラキラしたポップソングで聴いてて楽しいですね。詞も友達の
幸せを願ってる優しさに溢れてていい感じだけど、「お金に困ったら出来る範囲内で手を貸す」の
くだりは結構笑えます。
そして「誰かの願いが叶うころ」。ストリングスの音色も優しいバラードです。
この曲については、はじめて詞を読んだときにズーンときましたね。
願いを叶えたいと思うことは決して「わがままではない」けれども、「誰かの願いが叶うころ、
その一方で誰か泣く人もいるのだ」ということをきちんと理解している詞が秀逸だなぁと
感じたものです。
「COLORS」も好きですね。好きな曲ばっかりですけど(笑)。
結婚後復帰第一弾でしたね。自分の中の「いろんな可能性を探すことの
大切さ」みたいなものを感じる歌。
アルバムでは7曲目の「COLORS」までが、グイグイひきつけられる感じなんですが、
そのあとの曲も個性的。
THE BACK HORNのボーカル山田将司を迎えた新境地、サンバ風の「One Night Magic」や
本当に短い詞の世界ながら、壮大なサウンドの「海路」、逆にシンプルなサウンドに乗せて、
ごくプライベートな内容を歌った「WINGS」など、バリエーション豊富ですね。
そして「Be My Last」。シングルで最初聴いたときはかなり衝撃を受けました。
だって暗いんだもん。「自分で築き上げたものまで、自分の手で壊さないといけなくなる日が
くること」への悲しみを歌った冒頭の部分で彼女の言いたいことは、すべて言えた
と感じてるらしいですよ。
そしてインタールードの「Eclipse」を挟んで、ラストは「Passion」へ。
これは時の移ろい、を感じる詞世界だけど、ずっと鳴っている鼓笛隊みたいなドラムの音色とか
アジア的なサウンドが好きですね。
最近の彼女はセールスが下がっただの、音楽性の変化だのなんだのと言われることも多くて、
正直聴く前は、少し不安もあったんですが、聴いてみれば「そんなん全然関係ない!
冴え渡ってるし、やっぱり彼女は別格やなぁ」と思ってしまいました。なんか、他の女性
アーティストとは全然違う高さに立って歌っている感じさえしました。孤高のシンガーって感じ。
けれども、そんなスーパースターにありがちな気取りとかが全然なくて、詞も文学的ながらも
わかりやすいし、共感できる。「どんぶらこっこ」とか遊び要素の言葉も使いつつ、
日本語の響きも結構大事にしてるしね。いいと思います。
宇多田さん、ますます世界に磨きがかかったんじゃないでしょうか?傑作です。
- 宇多田ヒカル
- ULTRA BLUE