倉木麻衣の魅力ってなんなんだろう…って思ってしまうときがたまにあります(笑)。
デビュー時こそ「宇多田のパクリだ」、「いやそれでも宇多田よりルックスはいいぞ」
などと
言われたものの、その後、音楽性はありきたりのポップスへと移行し、今ではルックスもまぁとりたてて
「可愛い!」と大絶賛するほどでもない…という微妙なラインに立ってしまった気がしますが
(ファンの人ごめんなさい)、今回紹介する3rdアルバムまでは、「お金がかかってるなぁ」という
印象を受けます。ファンの人の間ではこれが最高傑作といわれてるみたいですね。
まずジャケットが可愛いじゃないですか。林檎持ってるし
。ポニーテールだし
。
あとCDの帯も葉っぱの形になっててギザギザしてるんですよー。凝ってます、凝ってます。
詞、ジャケット、サウンドやトータルデザインも含めて、コンセプトのはっきりしたアルバムになってます。
アルバムは10代の最後の歳の気持ちをうまく表現した「Fairy Tale~my last teenage wish~」から
スタート。おとぎ話の世界をモチーフにした詞世界になっていて、大人になるにつれて厳しい現実を知るけども、「おとぎ話を信じていた頃の純粋な気持ちを持ち続けたい」と願いが込められた作品になってます。
続く「Feel fine!」では、うって変わって、グループサウンズ風のサイケデリックなロックナンバーになっています。バイクのエンジン音のSEや、夏や海を連想させる詞で、前曲とは違い、現実感のある
日常を描いています。
また、「Ride on time」では「道なき道も越えられる」という力強い詞のポップチューン。
途中ヒップホップっぽくラップも挿入されてるのが印象的です。
「key to my Heart」も未来への前向きな気持ちを歌ったナンバーですが、途中で聴こえてくる
高揚感溢れるファンファーレや、中盤からの歯切れのいい英詞もうまくはまったドリーミーな
サウンドに仕上がっています。
「Winter Bells」はクリスマスのウキウキした気持ちを歌った、シャッフルビートのナンバー。
アレンジがクリスマスっぽいだけで、別にクリスマスソングと限定した詞ではないですね。次の季節への明るい希望なんかも歌ってるし、確かシングルは1月にリリースされたはずだし。途中でゴスペル調に
なる部分が好きですね。
そして一番好きなのが「Loving You…」。切ないビートに乗せて、うまく気持ちを伝えられない恋人たちの
世界を描いたものになっています。ポップなんだけど、バックでスクラッチ音が入ってたり、うにゃうにゃした
電子音も入ってて、ちょっぴりR&B、ヒップホップ風味を加えた感じがクセになる仕上がり。
他にもダンスビートに乗せて、他の曲に比べると割ときっぱりとした強い口調で歌いきっている感じの
「Trip in the dream」、YOKO B. Stoneによるファンキーなブラックチューン「Not that kind a girl」
(大人でも子供でもない微妙な世代の心情を歌っている)、序盤の幻想的なオルゴール風のメロディーから
力強いビートに変わっていく展開が印象的な「Can't forget your love」など楽曲の幅も広くて
楽しめます。
後半は名曲のオンパレード。「Like a star in the night」は彼女と最高のタッグペアだと思う
大野愛果作曲による静かなピアノバラード。好きですわぁ、この世界。はかなげだけど
強いという倉木さんの個性を生かしたメロディーになってます。
そして「不思議の国」も大野さんの曲だけど、こちらはとてもかわいいメロディー。
タイトルどおり「ユートピア」を描いた夢いっぱいのナンバー。ここの詞では
「愚かなルールなんて必要ない」っていってる部分がすごく好きですね。現実の縛りのある
世界ではなく、自分の思うままに生きていけるユートピアの存在。誰でも憧れる世界です。
で、夢いっぱいの世界を歌ったあとのラストソングは「fantasy」。これまたいいんです。
アコースティックギターのシンプルなサウンドに乗せて、大きな自然に包まれながら、
好きな人といるだけでいい、という優しさに満ちた歌で、ボーカルも素晴らしい。
「あぜ道」「草原」など、倉木さんの素朴なイメージとも重なる言葉選びも冴えてるし。
冒頭の繰り返しになっちゃいますけど、最近は当たり障りのない世界になってしまったのが
ほんとに残念。その意味ではこれは彼女の黄金期の最後を飾る名盤なんじゃないかな。
またこういう世界、やって欲しいです。絶対出来ると思うんで。
期待してます!
- 倉木麻衣, Mai Kuraki, Akihito Tokunaga, Cybersound
- FAIRY TALE