今回は浜崎あゆみの、ちょっと懐かしいベスト盤をレビューします。

最近の彼女の作品に関しては、当たり障りのない楽曲が多くなってしまった気がして、

少し興味の対象からは離れてしまったんですが、このころまでの楽曲は

有無を言わせないパワーがありますね。特に詞は冴え渡ってて、さすが時代のカリスマといわれた

だけのことはあるなという感じがします。


アルバムは孤独の悲しみを歌った「A Song for XX」からスタート。この曲のどうしようもなく

救いようのない暗さには本当にびっくりします。


そんな暗さの中で、次の「Trust」は、ようやく自分の本当の愛を見つけて、自分に正直に

生きていくことの大切さを悟ったナンバーになってます。「A Song…」では「一人きりで

生まれて 一人きりで生きていく」なんて悲しいことを歌っていたけれども、この曲では

「もうひとりぼっちじゃない」「ひとつ踏み出して」と前向きな言葉も見られて、安心するナンバー。


そのほかにも未来への不安を感じつつ、いつかは旅立たないといけないということを理解して、

前向きに生きようとする姿を歌った「Depend on you」、悲しい別れだけど、お互いに別の道で

いつかは幸せになれると信じているバラード「End roll」、幸せな恋人たちの模様を描きつつも

一歩引いて、どこか冷めた目線で見ているのが印象的な「appears」、時の流れの無常を

感じつつ、本当の愛を求めるデジタルチューン「Trauma」、また、絶望3部作と銘打った

「vogue」「Far away」「SEASONS」など、とことんポップなナンバーの上に、不安、悲しみ、

せつなさを乗せたような彼女の詞は、「不幸せではないけれど、特に幸せなわけでもない」という

当時の若者の気持ちを上手く言いえていたような気がします。


いちばん好きなのは、自分自身や、大切にしているものを「ガラクタ」にたとえて歌う「TO BE」。

時間に流されることなく、「ガラクタ」を大切にして不器用に生きていくということを

歌ったナンバーです。この曲の詞では「大きな何かを手に入れたけど、逆に

失ったものもあったかもしれない…取り戻したとしてもそれは微妙に違っているハズ」と

悟りきった、そしてあきらめたような部分が実に印象的。成功することの喜びだけでなく

それと引き換えに起こる寂しさもきちんと描いているのが、ほんとにうまいです。


ジャケットのアートワークも含めて、一番彼女に勢いがあった時期のベスト。

どこか超越的な輝きをかんじる作品です。

浜崎あゆみ, 星野靖彦, 木村貴志, 本間昭光, 守尾崇, 小林信吾, 前嶋康明, 鈴木直人, D・A・I
A BEST