今回は昨年11月に急逝した本田美奈子さんの、未CD化音源や過去にTVのみで放送されたレア

音源をまとめた、実質最後のオリジナルアルバムとなる「心を込めて...」を紹介します。


美奈子さんは1985年4月20日にデビューし、20周年を迎える2005年4月20日に記念アルバムを出すべく、

新録音を開始していたそうですが、その矢先に病に倒れ、その後帰らぬ人となってしまったため、

このアルバムにはその記念アルバム用に録音されていた曲も数曲含まれています。


アルバムは坂本九の名曲「見上げてごらん夜の星を」から静かにスタート。この曲は以前のアルバム用に

録音されながら、お蔵入りになっていたものだそうですが、彼女の清らかなソプラノボイスで

歌われると、ささやかな幸せ、生きることの大切さを感じさせてくれます。


そして「命をあげよう」は彼女がライフワークとしていたミュージカルの、デビュー作「ミス・サイゴン」からの

レパートリー。心を締め付けられるような絶唱です。


他にもマリンバの音色が涼しげで、彼女のボーカルもとても可愛らしい雰囲気の「踊りあかそう~ミュージカル『マイ・フェア・レディ』より~」や、レッド・ツェッペリンの名曲「天国への階段」のクラシカル・アレンジの

カヴァー、そして彼女の人柄と歌唱力を愛していたというブライアン・メイが、彼女のために新しく

リミックスした「Golden Days」など名曲ぞろいです。


そして8曲目「Always Love You」から11曲目「想い出のサンフランシスコ」は、過去にNHKの情報番組用に録音していたというレア音源になっていてこちらも、なかなか素晴らしいです。

特に「Always~」 はホイットニーの力強いソウルフルな歌声とは違い、高らかくクリアなハイトーン

ボーカルが冴え渡るナンバーで、聴いてて心が穏やかになる感じでした。

また、ロバータ・フラックの「やさしく歌って」は、ちょっぴり甘えたような歌い方が可愛らしくて、

ミュージカル歌手以前の彼女をほうふつとさせるものがあります。

そして、ミニー・リパートンの「Lovin’You]ではオリジナルの雰囲気そのままのファルセットを駆使した

歌い方がスキルの高さを伺わせます。


そして、ボーナストラックにおさめられた「つばさ」が素晴らしい。これは94年にフジテレビの

「ミュージック・フェア」で披露したトラックが使われています。僕は彼女の追悼番組で

このVTRを見たことがあるんですが、本当に心からの歌声はこういうものなんだな…と

実感して胸にじんとくるものがある歌唱だったのですが、再びこの音源を聴くことが出来て嬉しいです。

歌の上手さは当たり前なんですが、「辛いこともあるけれど、希望をもって生きることの美しさ」を

歌った詞を、情感を込めて歌っていて、バックのサウンドの上質さとあわせて心に残ります。

特に、後半の大サビ前の「つばさを重ねよう~音譜」の30秒近いロングトーンは本当に圧巻の一言です。


残念ながら、もう生で彼女の歌を聴くことは出来ませんが、このアルバムをはじめとして、

彼女の遺志を継いだ活動を見ていると、彼女を愛した人の多さに改めて気づかされます。

アルバムタイトルそのままの、素晴らしい歌声はいつまでもみんなの心に残っていくんでしょうね。

本田美奈子., 永六輔, 井上鑑, Alain Boublil, Alain Lermer, フレデリック・ロウ, Herbert Kretzmer, Jimmy Page, ジェラール・プレグュルヴィック, 岩本正樹
心を込めて...