このアルバムは槇原敬之にとって初のベスト盤。

この頃の彼の作品はとってもキラキラしていて、好きです。

デビューシングル「NG」(90年)から96年の15thシングルのなかから選りすぐったナンバーを

中心に、アルバムの曲も交えて構成された全16曲となっています。


彼の魅力はその、優しい人柄溢れる優しい歌声と、天性のPOPセンスによる

優れたメロディー。一度聴いたら忘れない「POPのツボ」をついてくる天才だと思います。

作詞・作曲はもちろん、ほとんどの曲でアレンジまで手がけてます。


一番すきなのは、彼の出世作「どんなときも。」この曲はユージ・オダ様が出ていた映画

「就職戦線異状なし」の主題歌にもなってました。この曲がリリースされたときは僕はまだ、

17歳だった(若ぇ!)んですが、この詞の「不安なことはいっぱいあるけど、自分らしく

前向きに進んでいけばいい」という詞にすごく励まされました。まぁ、若者らしい

青い詞といえばそれまでなんですけど、今、この歌を聴くと、「あの頃」を思い出して、

「また、頑張ってみよう」という気分にさせてくれるナンバー。今日は電車の中で

この曲を何度も聴いてパワーをもらってました。


楽曲全般を通して、気弱な男の気持ちを歌ったナンバーが多く、これが「女々しい」とも

映りますけど、一方で、「わかるなぁ」と思う部分も多々あるし、女性の側から見ても

「こんな風に優しい人から思われたらいいなぁ」と思わせる男性像を歌ってたんじゃないですかね、

当時のマッキーは。


「もう恋なんてしない」はふられた男が、彼女の荷物の残骸をあと片づけしつつ、「もう恋なんてしない…」って落ち込んでる歌かと思えば、実は「恋なんてしない、なんていわないよ絶対」と強がりを言ってるナンバー。


また「冬がはじまるよ」は付き合ってる恋人同士のわくわく感を歌ったナンバー。「8月の誕生日に

半袖と長袖のシャツをプレゼントしたのは、今年の冬もそれからもずっと僕らが一緒に過ごせる

ためのおまじない」って歌詞がいいねぇ。普通男性はあんまり、「おまじない」って言葉を

使わないと思うけど、なんとなくそこら辺が「かわいい」と思わせるんでしょうね。顔は別にして


他にも「MILK」では、日常に疲れた青年が男の友達の家を訪ねて、慰めてもらう、という

詞で、これもよくあるパターンだと、「男が女の家に行く、あるいはその逆」ってのはよく

見かけるけど、男が男の家にいって、励まされるってのが結構変わってると思う。友情というよりも

「親身」という言葉が似合いそうなナンバー。

他にオススメのナンバーは人を愛する純粋な気持ちを歌った「北風~君にとどきますように~」、

珍しくハウスサウンドにチャレンジした意欲作「彼女の恋人」、ドラマの一場面を見るような

詞のラブソング「ANSWER」、アレンジも可愛らしいクリスマスソング「雪に願いを」、

1人で都会に出て行った青年の強い気持ちを描いた「遠く遠く」など。


残念ながら「例の事件」以降の彼は道徳の教科書みたいなあたりさわりのない

楽曲を歌うようになった気がしますが、

(あ、でも04年のアルバム「EXPLORER」は結構好きです)

この頃は、詞も等身大だし、メロディーも若々しくて聴きやすいし、非常に充実した時期の

ベストなんで、聴いたことのない人は是非どうぞ。

槇原敬之, 西平彰
SMILING~THE BEST OF NORIYUKI MAKIHARA