このアルバムはミスチルにとって8枚目のオリジナル・フルアルバムになります。

彼らはこれまでに10枚のフルアルバムを出してますが、最近のアルバムでは

これが一番好きですね。

まずジャケットがいいです。ト音記号と花と地球をイメージしたイラストが

シンプルながらセンスのよさを感じさせます。

1曲目は小林武史作曲によるインストゥルメンタル「overture」。「序曲」の意味どおり、

はじまりをイメージさせる、壮大なオーケストラナンバー。なんとなく太陽が昇る瞬間の

空の映像に合いそうな雰囲気の曲です。

そしてこの曲に続く形で始まるのが「蘇生」。この曲、大好きです。いつもこの曲を聴くと

パワーをもらえます。特に「そう何度でも何度でも僕は生まれ変わっていける」の

くだりが好き。夢をあきらめずに生きていくことの大切さを歌ったナンバーで、臭い詞と

言われればそうなんですが、けれども、この曲には「あきらめかけた夢でも自分がその気になれば

やり直せる」というメッセージがこめられてて、それはすごく「そうだな」と思うんです。

夢はあきらめてしまったらそこで終わりで、何も見えないけど、あきらめなければ

例え叶わなくても、なんらかの光は見出せる。それを桜井さんは伝えたいのでは

ないかと思いました。力強く小気味いいドラムの音色も好きで、何度聴いてもいい曲。

他にも冷めていく彼女のことを、妙に俯瞰的な目でクールに見ている詞が印象的な

「渇いたkiss」、逆に若い恋のドキドキ感をPOPなメロディーで描いた「youthful days」、

ストリングスの上品なアレンジが好きな「ファスナー」などなど非常にキャッチーな

曲が並んだアルバムになってます。

ミスチルってアルバムの歴史でみると、デビューから「Atomic Heart」(94年)までが青春の瑞々しいポップ路線だったのが、「深海」(96年)で急にダークになって、僕はここで少しファンを離れたんですけど、

「BOLERO」(97年)からはまた少しずつ元に戻り始め、そしてこの作品で、「昔のミスチルが帰って

来た!」みたいな感じになったと記憶してます。ただ、以前みたいな青さだけでなく、大人社会の悲しみ

や痛みも表現しているので、完全ポップってわけではないんですけどね。でも、ダークだった

「深海」も今聴けば結構いいアルバムなんですがね。

話はこのアルバムに戻って、このアルバムのオススメ曲は先述の「蘇生」、それから「LOVE

はじめました」。これも好きですね~。不穏で、ギラギラしたトラックに乗せて、世の不条理や

社会への不安を歌ったナンバー。この中で「殺人現場にやじうま達が暇潰しで群がる
中高生達が携帯片手にカメラに向かってピースサインを送る
」という詞があるんですが、

これを聴いたときにドキリとしたことを覚えてます。これはおそらく、1997年に神戸で起きた、少年による

児童連続殺傷事件の犯人逮捕時のことをイメージして書かれたものだと思うんですね。このとき

「犯人は14歳の少年」とのことで、ニュース速報も流れましたが、このときに、中継現場で

上記の詞のような光景がありました。人が殺され、しかもかなり衝撃的な事件だったにも

関わらず、このようなふざけた若い子達の行為がTVに映し出されたことのほうが僕も

ショックだったことを覚えています。こんな荒んだ心の若者に桜井さんは

犯人はともかく まずはお前らが死刑になりゃいいんだ」と重い一言。この言葉はやや乱暴

すぎるところはありますが、でも、決して変な意見ではなく、僕も共感を覚えた詞でもあります。

他にオススメはシンプルな言葉ながら、ステキな恋の世界が描かれたメロディアスなミディアムナンバー2曲、「Drawing」と、「君が好き」。そして、荒んだ世の中だからこそ笑顔を絶やさずにいようという、

「いつでも微笑みを」など。

ちなみにここ最近の彼らは、昨年のアルバム「IU」もそうでしたが、ポップながら、また「自分探し」をはじめて、詞が難しくなりつつある傾向にありますが、僕は今日紹介したこのアルバムくらいのバランスの楽曲のほうが好きです。

Mr.Children
It’s a wonderful world