今回は宇多田ヒカルが''Utada''としてリリースした、全米デビューアルバム「EXODUS」の紹介です。
このアルバムに関してはリリース前から日本では大きな話題になっていたことを思い出します。
彼女は当時(今でもそうですが)、「日本で一番人気のあるシンガー」として、
その動向がものすごく注目されてたシンガーで、このアルバムも「どんな内容なのか?どれくらい
売れるのか?世界で通用するのか?」といろんなメディアで取り上げられてました。
…で、僕も含め多くの人たちはそれまで彼女がやってきたR&Bナンバーを、このアルバムでも
やるんじゃないかな?って思ってたと思うんですが、実際は違いました。
夜明けのようなイメージの「OPENING」で幕を開け、アジアンテイストのダンスナンバー「Devil Inside」へ。この曲は自分の中に潜む悪魔の存在を歌ったナンバーで、ダークな詞や低いAメロ、Bメロと、
ハイテンションに盛り上がるサビの対比が面白いです。続く「EXODUS’04」はアイルランドのケルト
音楽みたいなサウンドのナンバー。これは詞が「家族からの自立、親離れ」を歌ってる部分もあって、結構
興味深いところがあります。
で、続く「The Workout」の内容がかなりエッチ
。こういう生々しい歌を日本語にしちゃうと
ただのエロで下品な感じになるところを、うまく英語にしてユーモアも交えて歌えるところがさすが
ヒッキーだなと思う。邦楽では出来ないことをあえてチャレンジする精神がいい。トラックもかっこいいしね。好きです。
そして「Easy Breezy」は一番ポップで明るいナンバー。軽薄な恋愛を笑い飛ばすような詞が
ウィットに飛んでて面白い。「私はお手軽なジャパニーズ」なんて詞も出てきます
。
こんな感じで洋楽でしかできないことを、多彩なサウンドの中で、自由な詞で遊んで楽しんでる
様子がよく伝わってきます。
全体的なテイストとしてはアジアチックですね。もちろん向こうで通用することを前提につくられてて、
アイランド・デフジャム社とレコード契約して
ティンバランドなども制作に携わってますが、完全にアメリカナイズされた音楽ではなく、
「日本人」としてのアイデンティティもちゃんと示してくれたところが嬉しいかな。
好きなのは「Devil Inside」、「Easy Breezy」、そして「Traveling」に似た雰囲気のアップナンバー
「Hotel Lobby」、さらに「SAKURAドロップス」みたいなドラムロールが印象的なミッドバラード
「ANIMATO」(国内盤では唯一この曲だけ本人が対訳まで手がけてる。思い入れがあるのかな)、
そしてこのアルバムでは珍しいアコースティックな響きもちょっとだけ聴けるラストの静かな
「ABOUT ME」。これも、詞が面白いです。将来を決めようとするカップルが「こんな私で
いいの?」とか「あなたにはわからないところがまだあって不安だ」という正直な気持ちを
歌ってるナンバーです。
このアルバムを聴いて、やっぱり彼女は才能に溢れた人だなというのを再確認しました。
邦楽のヒッキーももちろんいいけど、Utadaとしてもまた楽しい作品を聞かせて欲しいな。
- Utada, T.Moseley
- EXODUS