その14 気が休まらない | 武産合氣道 大和/宮城野合氣修練道場 稽古日誌

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「神奈川県大和市」及び「仙台市宮城野区」にて岩間スタイル合気道を稽古する「大和/宮城野合氣修練道場」道場長鈴木博之のブログ。IT関連、自動車整備、資格試験、震災関連など、様々な情報を提供しています。

・・・つづき。


地震から数週間は、全く気が休まらなかった。


朝は最初に起きる。毎朝5時前後である。

つなぎ服に着替えて、実家周辺の見回り。

外は真っ暗で、凍るような寒さ。

うっすら雪が積もっている事も。


誰かが侵入した形跡がないか、車からガソリンは盗まれていないか、ものがなくなっていないかを確認する。


それが終われば、廃油ストーブに火を入れ、前夜のうちに汲みおきしておいた水を使ってお湯を沸かす。

朝は水道が凍っているから、お湯ができたら水道にお湯をかけて溶かす。


次は発電機の点検。軽油を補充し、エンジンオイルの量を確かめ、エンジンを回す。


家族が起き出して来る。

テレビで情報収集を開始し、炊飯器にスイッチが入り、ファンヒーターが動き出す。


廃油ストーブの回りに椅子を並べ、休憩所を作る。


国道はガソリンを待つ長い車列。


バッテリーが上がった、トイレを使いたい、携帯を充電させて欲しい、安否を確認しにきたなど、ひっきりなしに誰かが訪れる。


朝食が済んだら容器に水を汲み、塩釜、七ヶ浜へ配達。


毎日のように被災地の状況を目にする。

電気は相変わらず来ない。

ネットにもつなげない。

仕事もできない。


流石に疲れを感じ、リビングでどれ一眠りと思ったら、犬が吠えて来客を告げる。

その度にガバッと起き上がり、飛び出していく。


余震が起きれば火を消し、家具を押さえ、ドアを開け、年寄りを安全な場所へ避難させ、テレビで津波の有無を確認する。


気が休まる暇がない。


夕方になれば、車を隙間なくビッチリと止める。車間は3センチ程。乗り降りはもとより、間を通ることすらできない。給油口を塞いで、ガソリンを盗まれないようにするためである。


夜になれば、9時には発電機を止める。

真っ暗闇と静寂が訪れる。


懐中電灯を片手に、実家と工場の回りを一通り確認し、布団に入る。

寝るのはいつも一番最後。


夜になっても、余震が来れば飛び起き、救急車が通りかかれば目が覚める。

毎晩の眠りは浅かった。


食事はいつも、ご飯と白菜の味噌汁。極めて粗食。

早寝早起きだから、極めて健康。

実家で避難中は酒を一滴も飲まなかった。

脂肪が落ちて筋肉が残り、頬が痩け、ヒゲがぼうぼうに伸びて野生の顔になった。


気が休まらず、夢中で生き抜いた数週間であった。


・・・つづく。


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