そして本番当日。
演奏家の方々を乗せて会場へ。
前夜から降り積もった雪にハンドルを取られる。
客足が鈍らないか?心配するプロデューサ。
バイオリニスト到着。ようやく演奏家が全員出揃う。
スタッフは会場設営や,配布物作成,カメラの準備,雪かきなど。
花ふらりのご好意で,昼食のカレーを頂戴する。
これがまた,本当に美味しい。ついついお代わりしてしまった。
第一部のお客さんが集まり,そして本番。
プロは演奏もさることながら,しゃべりもプロ。
師範や講師の立場から見ても,学ぶことが多かった。
ピアノ兼指揮の佐藤さん。
作曲家のエピソードや楽器の特性などを,上手に聞かせてくれる。
彼が発する言葉で,たちまち観客のレセプターが開く。
年齢は近いはずなのだが,経験を積んだ人特有のオーラを感じる。
ピアノの御園生さん。
音楽家は気難しく,観客は姿勢を崩さず聞かなければならない。そんなイメージは,彼女の「がっはっはっは」という豪快な笑いで吹き飛んでしまう。
そうか,笑っていいんだ。気楽に聴いていいんだ。そう思わせてくれる。
しかし一旦ピアノに向かうと,10本の指が信じられない速さで鍵盤を駆け巡る。
そこから繰り出される音に,摩周湖の透明な深い水に潜った,そんな感覚に包まれる。
メゾソプラノの今泉さん。
媚びない。飾らない。しかし凛として美しい。
その声量に圧倒される。
歌声が胸の奥にズン,と響き,
鼻の奥にジン,と何かが込み上げてくる。
ありきたりの言葉を使うならば,これが「感動」なのだろう。
久々に魂が揺さぶられた。
バイオリンの森口さん。
本番直前の到着でほとんど余裕はなかったはずだが,それでも見事に合わせて魅せてくれた。
弓を操作する右手が信じられない速さと正確さで動き,弦を押さえる左手の指はそれ以上の速さと正確さで迎えている。
弓と弦が触れ合う一点から放たれた音は,バイオリン本体で増幅され,観客の身体をまるでニュートリノのように突き抜けて会場を包み込む。
真摯に演奏に向き合うその姿勢に今後の活躍を見た。
自分の小ささ,汚さが一瞬で浄化されたような,そんな気がした。
演奏家の皆さん,花ふらりの皆さん,プロデューサのM氏,スタッフの皆さん。
ご苦労様でした。そしてありがとう。