今回は、英国の指揮者、サー・エイドリアン・ボールトのブラーム交響曲の全集についての投稿・・・
ブラームスの交響曲と言えば、ベートーヴェンの交響曲同様、大好きな曲なので、かなり多くのLPや、CDを持っています。ミュンシュ指揮/パリ管弦楽団の第1番や、全集ならベーム、ワルター、フルトヴェングラー、バーンスタイン、ベイヌム、ケンペ、ヨッフム、バルビローリ、ヴァント、ザンデルリンク・・などなど、多くの名盤、名演奏と呼ばれているものが多いですね。指揮者の名前をあげたらきりがありません。ケルテスや、クレンペラー、カイルベルトだって素晴らしい・・・
それぞれ聴きごたえのあるブラームスを聴かせてくれます。その他の指揮者だと、シューリヒトの演奏もチョット聴くと淡々とした演奏が多いのですが、シュトゥットガルト放送交響楽団や、NDRの放送ライブなどで魅力のあるブラームスを聴くことが出来ますし、ミュンヘン時代前のシュトゥットガルト放送交響楽団とのチェリビダッケの演奏や、アーノンクールも意外と正統派なブラームスの演奏?で面白いですね。
さて、なぜここでサー・エイドリアン・ボールトのブラームスなのか・・・
ボールトと言えば、英国の紳士的?な指揮者で自国のエルガーや、ヴォーン・ウイリアムズ、そしてホルストの「惑星」などの演奏で有名なのですが・・・
このところSACDが多く発売され、ボールトのブラームス交響曲全集もリマスターにより、2、3年前にSACDで再発売されていたことに最近気が付きました。SACDで再発売されるくらいなので、多分、良い演奏なのだろう?・・・と思いつつCDの棚を見たら10年以上も前の単身赴任中に、タワーレコードの横浜店で購入した3枚組のBOXがありました。多分、一度しか聴いたことがなく、どんな演奏だったのかあまり記憶がありません。そのため今回、あらためて全曲を聴き直してみました。
ボールトのブラームス・・・今、聴き直してみるとオーケストラの両翼配置のステレオ録音も良いし、演奏も素晴らしいではないか!・・・
ボールトはモノラルでも全曲を録音しているようですが、このCDのBOXでの演奏は、1970年から78年にかけてのボールトの最晩年の録音で、旧EMIに残した録音。録音も弦の音の厚みが少し足らないように感じるものの、ヴァイオリンなどの高域での伸びた音がきれいです。これだけの音でしたら、わざわざSACDでなくても良いのかな‥とは思うのですが・・HIROちゃんのCDプレーヤーはSACD対応の機器ではない安物なので・・いまのところは高価なSACDは当分買わないでしょう。
前置きが長くなりましたが、ボールトのブラームス・・・全曲ともダイナミックなウネリや、力で押してくるような演奏ではありません。曲によっては多少異なるものの、どちらかというと、やや早めのテンポで少しあっさりとしているようでも、テンポや、リズムに変化のあるスケール感のある演奏も見られ、ブラームスの渋さのようなものも感じられる中庸な味わいのある演奏と言えるでしょう。
第1番の第1楽章では細やかな表現の中にもスケール感のある演奏。第2楽章では、この録音の時にコンマスに自らかって出たといわれる、ユーディ・メニューインのヴァイオリン・ソロの部分が光ります。第4楽章ではやや早いテンポで進みますが、ここでも緻密な表現と気迫やスケール感も見られます。
第2番と、第3番ですが、この全4曲の中では、この第2番と、第3番が最も素晴らしい演奏だと思います。
第2番は自然な流れを感じさせる、穏やかな部分もあるのですが、テンポやリズムに微妙な変化も見られ、細やかな表現が見られます。特に第1楽章、そして迫力感がある第4楽章が素晴らしい。
第3番でも第2番同様に全曲をとおして繊細な音色と、アコーギクの変化が見られます。細やかな表現の第3楽章が特に素晴らしい。
第4番ですが、意外と重厚感のある演奏で、テンポの変化もみられ、迫力も見られます。全体的にやや早めのテンポで充実した厚みのある響きです。第3楽章、第4楽章が各楽器とのバランス等も良く、力強く最も素晴らしい。
非常に簡単で大雑把な感想ですが、あらためてボールトのブラームスを聴いてみると、最晩年の演奏とは思えない、なかなかの名演。オーケストラがロンドン交響楽団と、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による録音ですが、もし、ボールトが同じブラームスの曲をベルリン・フィルなど、ドイツのオーケストラや、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したらどんな演奏になっただろうか・・・・
なお、他の余白に収められた 大学祝典序曲 、ハイドンの主題による変奏曲、アルト・ラプソディ 、悲劇的序曲 の演奏もなかなかの好演だと思いました。
<DISC1>
1. 交響曲第1番 ハ短調 作品68
2. 大学祝典序曲 作品80
3. ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
<DISC2>
4. 交響曲第2番 ニ長調 作品73
5. アルト・ラプソディ 作品53
6. 悲劇的序曲 作品81
<DISC3>
7. 交響曲第3番 ヘ長調 作品90
8. 交響曲第4番 ホ短調 作品98
【演奏】
ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ) (5)、
ジョン・オールディス合唱団男性メンバー(合唱指揮:ジョン・オールディス) (5)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 (1-5,8)、
ロンドン交響楽団 (6,7)
サー・エイドリアン・ボールト(指揮)
【録音】
1970年8月13,14日(6,7)、 12月15日(5)、
1971年1月16,28日、4月15日(4)、
1972年3月2,3日(1)、 3月4,13,14日(2,8)
キングズウェイ・ホール、ロンドン
1977年5月15日、7月19日、10月17日、
1978年1月20日、4月2,26日(3)
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。 (^^♪