オール直熱管 WE101L プッシュプル・アンプ
(コントロール・アンプ兼用) の製作 その⑦
------- 完成しました!-------
----- これまでにない、最高の出来!(あくまで自己満足!)-----
※2016/03/25 16:30 追加投稿しました。
このアンプのWE101Lの動作について加筆投稿しました。
※2016/03/28 12:00 写真を3枚追加しました。
※2016/04/07 16:45 追加修正しました。
回路図及び動作101Lの動作データを修正し、写真も一部入れ替えしました。
WE101Lのオール直熱管/プッシュプル・アンプ(パワーアンプ兼用/コントロール・アンプ)が昨日、完成しました。 まずは写真で紹介・・

角度を変えて逆の方向から見てみると・・・・・

上から見ると、こんな感じ・・・電源トランスの近くに定電圧回路の基板を組込んだために、基板の止めネジと、内臓チョークの止めネジのビスの頭がシャーシに見えるので残念ですが、良しとしました。

今回は、ハム防止等のために、コントロール・アンプのための左右の音量調整(ボリューム)や、パワー・アンプ/コントロール・アンプとの切り替えスイッチなど、左右を独立させました。 わかりやすいように、PCでシールを作り、貼ってみました。

背面にもシールを・・・プリ使用での200Ωと600Ω出しの出力端子部分です。
説明するほどではありませんが、赤・黒のターミナル端子はパワー・アンプ使用時のスピーカー端子(8Ω)です。このトランスは16Ωもあるので追加すれば、16Ω出しのプリも可能ですね。

このアンプのシャーシには、保護用のボンネットがついています。かぶせると、このような外観のアンプに・・・
右に置いてあるのは、外付け用のタムラのインプット用のトランスTKS-50です。 パワー・アンプとして使用した場合、入力トランスは無しでも、十分な感度ですが、必要に応じ接続して使用します。あとで述べる回路図にも一応、記入しました。

シャーシ裏の配線の様子です。今回も綺麗な配線に仕上げる事は、あまり出来ませんでした・・・。 今回は少し詳しく紹介・・・シャーシ内部全体の様子です。
なお、この写真では30フィラメントの電圧降下用の0.3Ωの抵抗は、あとから入れたので、写真には写っていません。 なお、WE101Lのソケットは専用のものではなく、UXのウエハーを使用しました。そのために穴が少しゆるいのでピンが接触する金属部分をラジオペンチで少し潰すように締め付けます。 WE101Lは足が短いため、ソケットとの食い付きがよくなるよう、シャーシの裏ではなく、表に取り付けてあります。

こちらは電源部の拡大写真。電源トランスの下の基板は、WE101Lのフィラメント点火用のDC5V定電圧回路の基板です。


入力部分の拡大写真です。見てお分かりのように、左右のチャンネルを独立させました。通常ですと入力部分では、シールド線を使用しますが、今回はシールド線は全く使用していません。オール直熱管アンプ、しかもドライブ管のフィラメントは定電圧ではなく、簡易的なDC点火ですが全くと言って良いほど、ノーハムのアンプに仕上げることが出来ました。

出力部です。ここでもライン出力用の200Ω、600Ωの端子への配線でもシールド線は使用していません。

----- アンプの回路設計等について -----
今回のアンプの大きな特徴は、極小出力ですが、パワー・アンプとCD入力等のライン・コントロール・アンプ(プリ・アンプ)の両方に使用出来る兼用アンプとしたところです。
これは、ブログでおなじみの「こばさん」のWE101Fプリ・アンプに刺激を受けたこと、そして家にあって約30年間も眠っていたWE101Lと、タムラのトランスを生かすために製作したものです。
まず、WE101Lの規格表の動作例を参考に回路を設計しました。動作例は以前にも紹介しましたが、あらためて紹介します。

上記の動作例はシングルですが、シングルでは、わずか出力は0.1W(100mW)です。今回は、このデータを参考に少しでもパワーが出るように、またオール直熱管と言うこともあり、ハムが発生しやすいことからプッシュプル・アンプとしました。
この規格の中で注意したいのは、最大プレート電圧(Ep)が、180V、最大プレート電流(Ip)が15mAであること、そして、プレート損失(Pd)がわずか2Wであることです。特に設計では、プレート損失2Wを超えないよう設計しました。
WE101シリーズは構造的にプレートを見る限り、45位の大きさのしっかりとしたプレートなので、実際のプレート損失は5W位に見ても大丈夫・・・と言うことで350Vもかけるマニアの方がおられますが、WE101Lは、101シリーズの中でもフィラメントが4.15V/0.25Aと細く、電流が少ないのでプレート損失はきっちりと守ることにしました。
----- 電源部について -----
今回は、プッシュプルとは言え、オール・直熱管で、しかもコントロール・アンプ兼用なので、ハム防止のためWE101Lのフィラメント点火用に5V用3端子レギュレータを使用した定電圧用基板を採用しました。この基板は5V1Aの規格なのでWE101Lを2本分として使用するのは少し厳しいのですが、メーカーのデータでは放熱対策が取られていれば1A以上流せる・・・とありました。
またデータには入力のAC電圧は出力DC電圧の+2V以上が必要とありましたが、今回は6.3Vの入力電圧のためか、少し電圧が下がりました。そのために計算上はWE101Lの2本分を5Vから4.15Vに下げて点火するのには、ハムバランサーの電流を考慮しても1.5Ω以上の抵抗が必要ですが、今回は1Ωで4.05Vになったので、これで良しとしました。
パワー・アンプのドライブ管の30は2V/0.06A用の電池管です。本来なら、ここでも2Vの定電圧回路の採用が好ましいのですが、フィラメントは単純に整流後に6,800μFのケミコン1個としました。
また、ヒーター・トランスは2.5V端子から整流しました。普通はDCに整流すると電圧は上がるのですが、2.5V位の低い電圧を整流すると少し低くなるようです。30を2本分では、0.3Ωをシリーズに入れて2V丁度(1.95V)となりました。

2V、0.06Aなのでフィラメントが点火していても目では殆んど見えないくらいです。長時間経ってからガラスに触れても全く熱を感じません。 上の写真は、デジカメで写した30のフィラメントです。
なお、30のフィラメントの点火は左右チャンネル2本分をまとめて点火、バイアスも供用としました。ペア・チューブでなくても、これで全く問題はありません。昔のメーカー製アンプは、シングル・アンプでも左右チャンネルのバイアス抵抗(カソード抵抗)供用は普通に多くありましたね。ただし、バイアス抵抗は1本使用の1/2にしなければなりません。

B電源回路は、チョーク・コイルは2段、ここでは初めて500V20μFと言う、日立製のMPコンデンサーをオイル・コンの代わりにケミコンにパラで入れてみました。このMPコンデンサは、アンプ作りのお友達、ブログでもおなじみの「KIYOさん」から頂いたもの。これにより音の変化があったかどうかは、今のところ?・・・
でも見た目にはカッコイイとは思いませんか・・?
------ 増幅部の回路について ------
増幅部の回路については、あとから示す回路図を見ていただければ、お分かりのように・・・・
■パワー・アンプとして使用する場合
30ドライブ→TN-347→WE101Lpp→ A-4734(8Ω)
となりますが、TN-347は、重畳型ではないトランスで、1次側に直流電流を流す事が出来ません。そのために200V1μFでクラーフ結合としました。
30のプレート電圧が少し低いのですが、試聴した感じでは特に問題はなかったので、このままとしました。
なお、入力トランスは感度が十分なので必要はありませんが、必要に応じ、外付けのインプット・トランスTKS-50を入力で使用します。
これだけのお高いトランス等を使用した、結構、重量級のアンプですが、パワー・アンプとしては、出力1W以下のミニワッターです。・・
なんとも贅沢なアンプですが、この出力でも十分です。
■プリ・アンプ(コントロールアンプ)の場合
切り替えスイッチでTN-347の1次側入力によるWE101Lppの単段アンプとなり、A-4734のライン用200Ωと、600Ω出しとなります。この動作の場合、30は点火したままの「遊び」になります。仮に30が2本ともフィラメントが断線してもWE101Lのプレートにかかる電圧は若干高くなるだけで、WE101Lのプレート損失(Pd)は、それほどオーバーはしないよう、プレート電圧を決定しました。
(実際に完成後に30をソケットから外し、単段アンプでのWE-101L動作時のEp,Egの電圧を確認しています)
※2016/03/25 16:00 追加投稿
2016/04/07 16:45 データ修正
このアンプのWE101Lの1本当たりの動作です。
プレート電圧(Ep):173V(185V-12V)
プレート電流(Ip):11.5mA
グリッド電圧(Eg):-12V
プレート損失(Pd):173V×11.5mA=1.99W
となり、WE-101Lの最大プレート損失(Pd=2W)丁度に
なっています。
------ 回路図です (2016/04/07 修正)------
※入力感度は十分なため、普通は外付け用のTKS-50は、必要
ありませんが、回路図には記しておきます。

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
------ 試聴結果等について ------
昨日、完成後に早速試聴しました。
驚いたのはハムの少なさ・・・初めはパワー・アンプにして電源スイッチをONにしたところ、いきなり「ウ~ン」という小さなハム音がスピーカーから出るではありませんか・・・・そこで、シャーシ内に付けた30用のハム・バランサーを回していったら・・・ナント、ナント、ある位置でハムがぴったりと消えたではありませんか・・・スピーカーに耳を近づけても全くの無音、ノーハムです。オール直熱管でこれほどのノーハムは初めての経験・・・ここはWE101L用の定電圧回路の効果でしょうか・・・。
因みにWE-101L用のハム・バランサーは、どの位置に回しても全くの無音・・・こんなに気持ちの良いことはないですね。
次に、アンプの切り替えをしてWE101Lpp単段のコントロール・アンプ(プリ)に切り替え、A-4734のライン出力の端子から別のメイン・アンプ(今回は71Aシングル)に接続し、ボリュームを最大に・・・・ナント、ナント、これまたびっくり!
200Ωでも、600Ω出しでもハムは、ほとんど聴こえません。
他のアンプにもつないでみましたが、スピーカーから、わずか10cm位のところでやっと耳に聴こえる程度です。測定器がないので、出来れば機会を見て、アンプ作りの仲間の方に後日、測定していただこうと思っています。
オール・直熱管で、シールド線なし、自分でもこの結果には驚いています。ただし、ライン・アンプとして使用した場合、WE-101L真空管を軽くたたくと、「カ~ン」という、マイクロフォニック・ノイズが少しありますが、これの対策は困難・・・・
まあ、アンプをぶつけたりしなければ使用には大きな問題はないと思いますが・・・・
------- 肝心の音ですが -------
音の表現ほど難しいものはありません。好みもありますし、第一私の駄目耳では、あまりあてになりません。
しかし、今回のアンプの音は「何か違います・・」何が違うのか良く表現できませんが、「良い、心地よい音」なのです。
パワーアンプの場合、外付けのインプット・トランスTKS-50をとおした場合と、通さない場合でも音は変化し、またTKS-50の1次側を10KΩとした場合と600Ωとした場合でも大きく変化します。しかし、入力感度は、十分なので入力トランスは必要は無いでしょう。
パワー・アンプでもプリ使用でもWE101Lの音は「音が繊細で私の好きな71Aに少し似た感じの音に聴こえます。
う~ん・・・どう表現すればいいのだろう・・・
71Aの繊細な音+245+WE300B÷3・・・の音なんて・・半分冗談ですが・・・
音の評価については、また暫く聴いてから報告出来ればと思っています。・・・どちらにしても、これまでにない素晴らしいアンプに仕上がったことには間違いありません。(自己満足もいいところですね)
※2016/03/28 12:00 追加投稿
シャーシに付いていた底板のゴム足が短く、指が入らず持ち
にくかったために少し高さのある大きいゴム足に取り替えま
した。見た目にも、こちらのほうが良いようです・・・・

※追記:今後も必要に応じ、新たな投稿ではなく、この記事
に加筆する場合がありますので、時々、のぞいてみ
てください。
※Yahooブログ廃止により下記のアドレスでは見られません。右のテーマ「WE101Lppアンプ」から見てください。
【ご参考】
下のアドレスをクリックすれば記事につながります。
■WE101L ppアンプの製作 その6(配線作業)
■WE101L ppアンプの製作 その5(部品の取付け)
■WE101L ppアンプの製作 その4
(回路の原案とタムラのトランス)
■WE101L ppアンプの製作 その3
(ヒーター・トランス、及びチョークの簡易磁気シールド製作
■WE101L ppアンプの製作 その2(シャーシ加工②)
■WE101L ppアンプの製作 その1(シャーシ加工①)
では、今日は、このへんで・・・・HIROちゃんでした。