■EL34プッシュプル・アンプ
6K6/6F6/6V6/6L6系/KT-66/KT-77
EL34 その他 兼用コンパチブル・アンプ
今回、紹介するアンプは2013年6月に製作したコンパチブル・プッシュプル・アンプの大作?です。プッシュプル・アンプの言わば集大成のつもりで作ったアンプです。
実は、このアンプは私のブログ開設前に、おなじみのKIYOさんのブログ「オーディオ父さんの独り言」に2013年6月14日投稿して紹介していただいたアンプです。
読者の方の中には既に読んでいただいた方もおられると思いますが、あらためて詳しく紹介したいと思います。
なお、KIYOさんのブログは画面右の「友だち」からクリックで訪問出来ます。あとでゆっくり見て下さい。オーディオのノウハウ満載のブログです。

このシャーシは奥澤製の物で大きさは350mm×230mm×200mmというコンパクトなものです。下のシャーシはアルミ製ですが厚みが2mmあり、とてもしっかりしたシャーシです。(但し穴開け等、加工は結構、大変でした)
シャーシの加工から配線、完成まで3日間で作ったアンプです。
いつも作るペースは2~3日間で作ります。昔は夜も作業し、1日で作りましたが・・・今は年をとったのでムリ・・・


アンプ自体はコンパクトですが、タムラ製の出力トランスだけで重さが2個で10kgもあり、アンプ全体で約17kgと結構、重量級のアンプになっています。
コンパチブル・アンプですが写真はEL34を挿しています。

上から見た部品の配置です。出力管の動作は軽いので特に放熱用の穴は開けませんでしたが、特に熱くなるほどでもなく、大きな問題はないと思います。
■アンプの特徴
(回路等について)
このアンプの主な特徴ですが・・・
1.出力管の動作は、軽い動作となっているために、出力管として6K6
6F6、6V6,6L6、5881、KT-66、EL34などなど多くの球と差し
替えが出来ます。
また、差し替える出力管の違いにより、見た目の変化も楽しむことが
出来る楽しいアンプです。

これらの真空管の差し換えは、B電源の電圧の切替、およびバイアス電圧をバイアス抵抗の切替によって行います。(EL34は6V6や6L6とソケットの接続が異なりますが、1番ピンと8番ピンを接続しておくとEL34も使用できるようになります)

出力管のバイアス電圧は電圧計で監視することができます。メーターの左下がメーターのON/OFFスイッチ、右のツマミの切替により、出力管1本毎のバイアス電圧を測ることができます。
B電圧切替のスイッチはシャーシ背面の後ろにあります。
2.同じ出力管でも「五極管接続」「UL接続」「三極管接続」の切替が出
来ると共に、それぞれNFBについても3種類の切替が出来ます。
従って1種類の出力管でも9種類の音を楽しむ事が出来ます。
(五極管接続/UL接続/三極管接続の切替スイッチは6BM8の隣の
ロータリースイッチのツマミで切替ます)
なお、NFBの切替スイッチはシャーシの背面(裏側)にあります。
3.アンプの回路そのものは、非常にシンプルなPK分割による位相反
転回路で、ドライブに出力管の6BM8を使用し、初段は3極部のみ
の増幅で、5極部を3極管接続としてパワードライブとしています。
※そのためPK分割回路での6BM8のカソード抵抗とプレート抵抗
値は10KΩと低くなっています。
3極部の1段増幅のため、入力感度は若干、低くなっていますが、
使用上、全く問題はありません。通常はコントロールアンプ等を使
用しますが、CDデッキ等の出力を直接入力しても、十分な出力を
得ることが出来ます。(入力感度は出力管や動作により異なります
が、約1~1.5V位でフルパワーとなります)

右の写真は、裏の配線の様子です。
少し急いで作ったために、綺麗な
配線ではありません。
■回路図について
アンプそのものの回路は初段と直結によるPK分割によるシンプルな回路ですが、B電圧の切替、バイアス抵抗値の切替、5極/UL/3極管の切替、NFBの切替と非常に操作が複雑です。
回路は公表しますが、このような複雑なアンプは笑われると思いますので、絶対にマネはしないで下さい。ここまで切替が複雑なアンプは多分あまりないでしょう。アマチュアだからこそ出来る設計です。(アマチュアは、趣味ですので何をやってもいいのです。アイディアを考えると面白いアンプが出来るものです)
各出力管での動作は省略しますが、各真空管のEp、Ip曲線の特性カーブから見たバイアス電圧は多少、適正な電圧とは言えませんが、自己バイアスで、切替による各出力管のPd(プレート損失)の最大定格は全てオーバーしない設計となっています。
なお、出力管により、出力トランスの1次側Zpは、2次側のスピーカーの4、8、16Ωの接続を変えて変更します。
あくまで自己満足のアンプだと思ってください。

このブログでは、同じ回路のアンプの製作を、おすすめしているものではありません。また、アンプの試聴結果は、個人的な感想です。したがって、このブログ内記事の回路図等は、参考にしないで下さい。同じ回路のアンプを、お作りになるのは自由だとは思いますが、全て自己責任の上、製作くださるよう、お願いいたします。投稿者としての責任は一切持ちません。真空管アンプ製作は、高電圧等による感電死や、火災、火気事故、シャシー加工時での怪我など、注意が必要です。安全第一で楽しいアンプ作りをしましょう。
■アンプの周波数特性について
このアンプは何種類もの真空管と、動作を変えることが出来ますが、ここでは代表的なEL34使用時における、「五極管接続」「UL接続」「三極管接続」の特性について一部紹介します。
測定は前記のKIYOさんにお願いしました。
●5極管接続時の周波数特性(1W時)
上の特性はNFB=0の裸特性ですが、結構いい特性です。まあ、この
5極管接続の無帰還で聴くことはありませんが・・・・
下の特性はNFB=約3dBの時の特性。素晴らしい特性です。
なお、左右のチャンネルにおける差はありませんでした。

●UL接続および3極管接続時の周波数特性
上がUL結合、下が3極管接続です。
どちらもNFB=0の裸ですが優秀な特性です。好みはありますが、私は、このNFBをかけないUL接続の音が結構、気に入っています。
※下の3極管接続のチャート紙の0点が少しずれてしまいました。
この特性も無帰還ながら非常に優秀です。

■各出力管における音の特徴
このアンプは、とにかく多くの出力管を差し換えて、且つ、動作も変えることが出来ますので、詳細な出力管の違いや動作の違いによる音の感想は細かく出来ませんが、大出力を望むならEL34の5極管接続。非常に迫力のある音が楽しめます。またEL34ですとUL結合が最も好みの音でした。また、EL34の3極管接続はNFBをかけない方が私好みの音で、芯のしっかりした3極管の音で楽しむことが出来ました。
6L6-GC,、5881、6V6などのビーム管ですが音に力強さが見られ、好ましい音ですが、音の繊細さや中高域での音の伸びなどはEL34等の5極管の方が良いように感じます。
意外といいのが6F6-GTです。ラジオ管と駄球扱いは出来ません。どの動作でもいい音で、特に3極管接続(無帰還)ではクリアーな音を聴くことが出来ます。
まあ、このような馬鹿げたコンパチブル・アンプを作られる方は、おられないと思いますが、このアンプ1台あれば、直熱管アンプは別として、プッシュプル・アンプは、これが最後のアンプになるかも知れません。
これ1台で十分です・・・・・
・・・・といいつつ・・・実はまだ使用していないpp用のOPTが2組あります。何のアンプを作るか思案中です。
私の自作するアンプは・・・「シンプル・イズ・ベスト」の回路がモットーです。B電源の定電圧化とか、石とのハイブリッド・アンプなどの複雑な設計は私の知識では無理です。。。。。
※2015/02/09 22:25 追加投稿
コンパチブル・アンプの製作は、あまりお薦め出来ません。
作った自分が言うのは、おかしいのですが、コンパチブルとして作ったアンプでも最終的には、気に入った真空管に固定化されてしまう事が多いのです。実際、このアンプは、ほとんどEL34専用にちかくなっていて、他の真空管は使う事があまりありません。ですから、このアンプは「テスト・アンプ兼用/EL34ppアンプ」といった方が良いかもしれません。
【関連記事】
このブログ中には、他に下記のEL34等アンプの投稿記事があります。
★6L6-GC/UL結合シングル・アンプ
★6CA7(EL34)/6L6-GC ppアンプ(HiFi用6BL8ドライブ)
★EL34/6L6-GC/6B4Gコンパチブル・シングル・アンプ
その他のEL34/6L6系のアンプについては画面の右「EL34・6L6系アンプ集①②」の書庫にも製作記事がありますので、ご覧ください。
別回路のアンプの紹介があります。
では、今日はこのへんで・・・・・・HIROちゃんでした。