夜想[★★★★☆]
[簡単なあらすじ]
主人公:雪藤は事故で家族を失い絶望の中で日々を暮らしていた。そんな中である少女とである。その少女は特別な能力を持っており、その能力で雪藤の悲しみに共感し涙をながす。雪藤はその少女によって立ち直ることができた。そして少女のすばらしさを他の人に伝えることこそ自分の使命として行動を始める。
貫井徳郎の新刊(文庫だけど)です。この人の初期作品である慟哭と同じ宗教を扱った物語ということが帯に謳われており、どらっとばかりに手にとって見ました。慟哭については、宗教は絡んではいましたが、どちらかというとミステリーらしいトリック(叙述的)が中心であり、宗教は闇の部分を強調する形で使われていました。しかし、本書では正面から宗教を扱っています。一般的に新興宗教が話題になるときはいろいろと騒動が起きたときであり、何であんな怪しい宗教にはまり込んでしまうんだろうと思うものですが、本書を読んでみると、なるほど、(すべての宗教がそうではないでしょうが)そんな感じで出来上がっていくのなら、熱心に活動してしまうのもわかるかなあなんて思ってしまいました。宗教といっても小規模であれば、お金やら権力やらは何もなく、ただ、救いを求めることが目的なんでしょうが、それが組織となったときにいろいろと壊れていくのだなあと。普通の会社にしても、ベンチャー企業が大きくなっていくことでおかしくなっていくことがよくありますが、おんなじ感じなのかなと。人が増え、組織ができることにより誰も求めていないにもかかわらず変わってしまうことがあるのかと。特に本書は登場人物に明確な悪意(犯人)というものが存在しない。にもかかわらず誰も望まない結果になってしまう。まあ、所詮フィクションですから、すべてがおんなじなわけではないですが、なんとなく組織論について考えてしまいました。爽快感というものはないですが、いろいろ考えさせられるよい本かと思います。ただ、ミステリーというくくりじゃないよなあ。
主人公:雪藤は事故で家族を失い絶望の中で日々を暮らしていた。そんな中である少女とである。その少女は特別な能力を持っており、その能力で雪藤の悲しみに共感し涙をながす。雪藤はその少女によって立ち直ることができた。そして少女のすばらしさを他の人に伝えることこそ自分の使命として行動を始める。
貫井徳郎の新刊(文庫だけど)です。この人の初期作品である慟哭と同じ宗教を扱った物語ということが帯に謳われており、どらっとばかりに手にとって見ました。慟哭については、宗教は絡んではいましたが、どちらかというとミステリーらしいトリック(叙述的)が中心であり、宗教は闇の部分を強調する形で使われていました。しかし、本書では正面から宗教を扱っています。一般的に新興宗教が話題になるときはいろいろと騒動が起きたときであり、何であんな怪しい宗教にはまり込んでしまうんだろうと思うものですが、本書を読んでみると、なるほど、(すべての宗教がそうではないでしょうが)そんな感じで出来上がっていくのなら、熱心に活動してしまうのもわかるかなあなんて思ってしまいました。宗教といっても小規模であれば、お金やら権力やらは何もなく、ただ、救いを求めることが目的なんでしょうが、それが組織となったときにいろいろと壊れていくのだなあと。普通の会社にしても、ベンチャー企業が大きくなっていくことでおかしくなっていくことがよくありますが、おんなじ感じなのかなと。人が増え、組織ができることにより誰も求めていないにもかかわらず変わってしまうことがあるのかと。特に本書は登場人物に明確な悪意(犯人)というものが存在しない。にもかかわらず誰も望まない結果になってしまう。まあ、所詮フィクションですから、すべてがおんなじなわけではないですが、なんとなく組織論について考えてしまいました。爽快感というものはないですが、いろいろ考えさせられるよい本かと思います。ただ、ミステリーというくくりじゃないよなあ。