身体性に誘われる建築領域の拡大 | 建築家 廣部剛司 /日々の断章

身体性に誘われる建築領域の拡大

矢萩喜從郎プロデュースによる展覧会

『矢萩喜從郎の建築』展

の最終日である水曜日に「身体性に誘われる建築領域の拡大」
というイベントが行われました。

会場となったのは建築学会のある田町の建築会館。


[プログラム]
第一部/17:00~18:15
映像「チャールズ・イームズ、ヤニス・クセナキス、2人の建築家に見る、多領域へとシフトいく姿」
解説=矢萩喜從郎

第二部/18:30~19:15
パフォーマンス「縮む 膨らむ 歪む」
構成・演出・振付=辻元早苗

第三部/19:30~21:00
シンポジウム「建築空間と身体」
パネリスト=三宮麻由子(エッセイスト)、辻元早苗(舞踊家)、水沢勉(神奈川県立近代美術館 副館長兼企画課長)
司会=矢萩喜從郎

という内容でした。

自分が時間を作って行こうと思った理由は2つ。

1. コルビュジエと協働した作曲家ヤニス・クセナキスのドキュメンタリーが見られること

2. 建築空間と「身体」というテーマ

でした。

クセナキスについてはラ・トゥーレットの修道院やフィリップス館など
モデュロール、数学を駆使した作品の影に彼がいたことは
ずっと気になる事実なので、その知識をすこしでも押し広げたいと思っていました。

本人と家族、後の時代を生きる作曲家たちが証言をしていくフィルムは
その音楽のキャラクターがどこから生まれていったのかなど
貴重な情報が盛り込まれていました。

そして、中庭に会場を移してのパフォーマンス。

矢萩氏が設定した段ボールのパネルを移動しながらの
モダンダンス公演。
音楽はライヒのものを使っていました。


$建築家 廣部剛司 /日々の断章

様々なパターンにこの衝立を移動しながら
40分ほどのパフォーマンスが進行していきます。

幾何学的に組み上げたものが淡々と進行していく。
この段取りを組んで、憶えるだけでも大変な労力が必要なのだろうと感じました。

$建築家 廣部剛司 /日々の断章

そして、「建築空間と身体」のシンポジウム。

それぞれの立場から引き出される話は、なかなかに興味深いものがありました。
ただ、放談という前提でスタートしていた割には
端々で「まとめて」いこうという司会進行をされていて
あえて言えばそこが残念でした。

もう少し振れ幅があった方が
結論は出ないにしても、議論の可能性があったように
どうしても感じてしまったからです。。。

ともあれ、身体が建築空間をどのように認知しているのか
どう捉えようとしているのか?

なかなか明快に出来ない(だから面白いのかも)テーマについて
深く考える良い機会になりました。