殺人鬼イタコのイタコさん

大西宏昌

殺人鬼イタコのイタコさん
 1衝動的な殺人なのに証拠を残さず、現場から消え去ってしまうアサシン
 その日、俺はデニーズでチラシ寿司を3人前スプーンで平らげていた。一心不乱に、何かに取りつかれたように、そばにいたイタコの水島イタコさんも驚愕の表情で俺を見ていた。イタコさんはイタコさんでコカ・コーラを3リットル狂ったように飲み干してしまうとPSPでラブプラスを小一時間やり、飽きると、色鉛筆を芯が見えるまで齧った。俺は、〆のソーキソバを食らい終えると勘定を払い、店を出て、赤いオープンカーに乗り、世田谷の自宅に向かった。イタコさんはそんな俺を追うように松葉つえで店を出た。足を複雑骨折している。先日、ダンプカーに轢かれたのだ。幸い、命は助かったが、有り金を持っていかれた。ボストンバッグに入れていた200万だ。鴉が、持っていってしまった。タクシーを拾い、前のオープンカーを追ってくれと云った
「婆さん。尾行かい。いい行いだ。悪を蹴散らせてくれ。」とわけのわからないことを運転手はいった。