グランド・タワー管制視点で上手だなと思うパイロットは概して無駄な交信を行いません。現実運用あるいはその時の状況から判断しプッシュバック時に離陸滑走路をリクエストし、速やかに離陸までのプロシジャを実行します。

こういう風にして頂けるとATCは大変助かります。。。という思いも込めてお伝えしたいと思います。

 

<プッシュバックリクエスト>

ファーストコンタクトから明確です。混雑時には他機との通信が済んだタイミングを見計らってATCにコンタクトします。割り込み通信は避けます。離陸滑走路の要望も的確です。

 

RJTT(羽田)の北風運用時は下図の通りで北・東向きは34R,南・西向きは05使用が基本となっています。

IFは支障が無い限り最も近い滑走路を使用することになっているので36Lリクエストで構わないのですが遠いのにRWY05や34Rをリクエストします。このようにされるとATC側も色々気を遣わなくて良いので安心します。

 

 

さらにこの方たちは周りの状況をよく見ています。あるいは他機の管制を聞いて自分の置かれた状況を把握しています。

 

例えば

下図はC機はプッシュバック後で準備中。先にリクエストしてきたA機にプッシュバック指示を与えたところです。

 

B機、C機の状況に置かれた場合はA機がプッシュバックを終了してタクシーするまで待機、次のアクションをリクエストすることもありません。

(リクエストされてもATC側の選択肢は"Hold position"指示のみで只ワークロードを増やすだけになるからです。状況によっては暫く待ってもらうことになりますがATC側はReminder setで忘れないようにしています)

C機の場合はもう少し後ろまで下がった位置でプッシュバックを終了させ右の誘導路を使う選択肢を残しておくかも知れません。

 

<タクシー>

先を急いだり先行機に接近しすぎたりせずに適度な速度でグランド走行しています。

離陸滑走路に近づいたところでグランドの接続を切ってタワーに接続します。

ATCはタクシー許可と同時に"contact tower when ready (準備出来次第タワーにコンタクトを) "と指示しています。

それなのに"request frequenct change (周波数変更を要求) "を出して"You were already instructed to changefrequency (既に周波数変更を指示済みです)"と無駄にATCのワークロードを増やすことも、只でさえ混雑している通信リソースを無駄に使うこともありません。

 

<離陸リクエスト>

黄色機の状態で離陸リクエストをしても"Hold short of RWYxx (滑走路手前で待機せよ)"の指示しか返ってこないので順番が1stになったところで離陸リクエストをします。

既に準備は整っているので離陸許可を出した後は速やかに離陸走行を開始します。

<離陸>

ATCで一番困るのが"Remaining in the pattern (周回路を使用)" で離陸したのにパターンワークに入らない・入るかどうか分からないタイプです。

ずっと状況を追っかける必要があるのでワークロードがあがります。
 

上手な方は"Remaining in the pattern"で離陸した時はすぐ指示通りのトラフィックに入って適切な高度を保った後タッチ&ゴーをします。コンパクトなパターンで最低限のATCコンタクト。。。で静かにクルクル回るだけです。10NMも先に行ってポジション情報と共に"Request Touch and Go(タッチ&ゴーを要請する)"。。。こともありません。

 

そもそも羽田空港、それも混雑した状態ではパターンワークの要求もして来ません。訓練する時はしかるべきところでしています。

(混雑していないときは全然構いません)

 

プッシュバックから離陸まで、周囲に気を配り状況に合わせた必要最小限のコンタクト。。。これに付きます。

 

ここで興味深いのがこのように『できる・できないはGradeに関係ない』ということです。Grade2 でパターンワークまでしっかり出来ている人もいます。経験数からLanding回数は少ないことを考慮してもそういう方のViolationを確認すると非常に少ないことに気づきます。

 

結局上手く出来なかったところを振り返ったり、分からないことを色々調べて少しづつ知識を増やして実践していくのが大事なんでしょうね。。。これは私も同様。

自分に合ったペースで徐々にレベルアップ、趣味ですし長く楽しみたいものですね。

 
ではまた。次はゴーストに付いて(笑)